2024.10.07 UP
10月5日に開幕した「台風23号」の初日前取材会を、10月5日(土)THEATER MILANO-Zaにて行いました。
出演者9名が、初日に向けた意気込み、演じる役の見どころやお気に入りのシーン、共演者の印象等を語りました。
作・演出/星野純役:赤堀雅秋
長く演劇に携わってきましたが、こんなに穏やかな心境で初日を迎えるのが初めてでむしろ不安です(笑)。
かまぼこ工場で働く森田さんと離婚した奥さんの弟が間宮さんという、当初は義理の兄弟の設定で発表していました。そんな中、執筆がこれまでになく難航してしまい、森田さんの役を配達員に変えたところで自分の中で物語が動きまして、当初の設定から変更が生じたことはご容赦いただけると嬉しいです。
市井で生活する人々と同じ目線で物語を紡ぎたいと思っています。商業演劇でこういった視点から愚直に物語を描いている作家は少ないと思っていて、今回もそこは強い思いで書きましたし、これからも続けていきたいと思っています。
配達員役:森田剛
稽古で一生懸命積み上げてきて強い思いがあるので、きちんと出せるように、荷物を一生懸命運びたいです。
生きるためにとにかく時間通りに荷物を運ぶ、まっすぐな男の役。出演者全員それぞれに見せ場があり、いいシーンや見どころもたくさんあるので観てほしいです。
間宮さんとは今回ご一緒することが決まって会うのを楽しみにしていました。稽古に向かう姿勢も勉強になりましたし、なんでもすぐにできてしまってコノヤロー!いいな!と思っていました。(間宮さんから、それは違います!そんなことないです!と訂正が入る)
僕自身は役をつかむのにとても時間がかかってしまい、稽古中、赤堀さんからダメ出しされて「俺、泣くんじゃないか」と思った瞬間もあったのですが横を見たらB作さんも同じ顔をされていて、救われました!
田辺浩一役:間宮祥太朗
稽古の時から自分の出ていないシーンを観ていて、好きな作品だと思っていました。
自分の出ていないシーンであってももう客席から観ることは出来ないので少し寂しいですが、それだけ好きだと言える作品に出演できる幸せを噛みしめながら一公演一公演を大事に演じていきたいです。
僕が演じるヘルパーは、自分の中では頑張っていて人当たりも良く、正当な評価を受けたいという思いが強い人です。それが会話の中で見え隠れしています。
僕は、配達員(森田)がカブトムシの話をするところがすごく好きです!
剛さんはあまり話さない方だと聞いていたのですが、食事会で全然そんなことないよと色々話してくださって、お会いする前と印象が変わりました。役者として底知れない力があると再認識しましたし、一緒に演じていて楽しいです。
趣味の師匠としてプライベートでもお世話になっています(笑)。
観てくださるお客様一人一人の人生や生活によって、同じシーンを観て大笑いする人もいれば涙がこぼれる人もいるような作品だと思うので、お客様にとって大切な作品になれば嬉しいです。
井上智子役:木村多江
映画でもドラマでも舞台でも初日はいつもとにかく緊張します。
ただ舞台は今日で終わりではなくまだまだ続くので、その間に成長し続けられたらいいなと思います。皆さんの足を引っ張らないように、お客様に喜んでいただけるように精いっぱい演じたいです。
私の役は危うくて不安定な危なっかしい、頑張りをコントロールできず苦しみもがいているような役。自分が出ているときの皆さんを観ているのが好きです。B作さんはお父さんとしてイラっとさせられるけど人間味があって、そんなB作さんが自分の気持ちを森田さん演じる配達員に吐露するシーンが私はとても好きです。
井上秀樹役:藤井隆
物語がとても難しくてわからないことがたくさんあって、ずうずうしいですが、早く初日を迎えたい!なんて思っていました。そして今日やっと本番を迎えて、一生懸命頑張って大阪・豊橋と最後まで体調管理もしっかりしていきたいと思います。僕は木村さんの役を不安定にさせてしまっている理由の一つで、いろいろなことがうまくいかなくて、困っている役。スナックひまわりのママの親子のやり取りや、配達員がある落とし物をしてしまうところが、すごく素敵なシーンだと思います。
菊池宏美役:伊原六花
稽古にお金を払いたくなるぐらい、素晴らしい皆さんからの学びが多い稽古の時間で、毎日がとても楽しかったです。
私が演じる宏美は等身大の役で似ているなと感じる部分がたくさんありました。
この年代だからこその、大人と子供の間のような感じがして、大人っぽくありたいけど、まだまだ子供として扱われるという色々な悩みがぐるぐるしている役だと思っています。好きなシーンはたくさんありますが、田辺さん(間宮)と秀樹さん(藤井)の冒頭のシーンがいいなと思ってます(笑)。
今日から初日ですが、まず目の前のことを一生懸命に、一日一日を大切にしていきたいです。
警官役:駒木根隆介
これまで稽古で積み上げてきたもの、内側から生まれてくるエネルギーを信じて演じたいと思います。
僕が演じる警官は途中で違う側面を見せるのでぜひそこをチェックしていただきたいです。
菊池雅美役:秋山菜津子
今回のお芝居はワンシチュエーションなんですが、そういう作品は難しいところがあり、でも赤堀さんの作家論を感じつつ、その中で生きて楽しんでいきたいと思います。
私は伊原六花ちゃんと親子の役を演じますが、六花ちゃんの感性がとても素敵で、一緒のシーンがとても好きです。森田さんが配達員としてうごめいている姿や、B作さんが煙草を探している姿も気に入っております。
古川勝役:佐藤B作
赤堀さんの作品は大好きでこれまでよく拝見していたのですが、観るのと演じるのは大違いで、冬山に登るような難しい稽古をやってきました。初日はいつでも緊張しますが、今回は認知症の役ということで、何があっても大丈夫、と自分に甘い佐藤B作です(笑)。
僕は老人の役で、嫌でダメな部分もありつつ、でも救われるところをどれだけ演じられるか、まだ悩んでいます。森田君がやたら走っているところ、間宮君がキレるところが好きです。すごいなこの人たち、僕ぐらいの歳になったときどんな俳優になっているんだろうと、一緒に舞台にいて見惚れてしまうような素晴らしい方ばかりです。年を取ると衰えるばかりなので、ここから頑張っていこうと思います(笑)。
東京公演は2024年10月27日(日)まで。その後、11月1日(金)~4日(月休)は大阪・森ノ宮ピロティホール、11月8日(金)~9日(土)は愛知・穂の国とよはし芸術劇場 PLAT ホールにて上演いたします。
ぜひ劇場へ足をお運びください。
撮影:宮川舞子