Bunkamura Production 2024 | DISCOVER WORLD THEATRE vol.14 | 『A Number―数』『What If If Only―もしも もしせめて』

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2024.09.10 UP

『A Number—数』『What If If Only—もしも もしせめて』初日前会見を行いました

現代イギリス演劇を代表する劇作家の一人、キャリル・チャーチルの2作品『A Number—数』『What If If Only—もしも もしせめて』の初日前会見を、9月9日(月)世田谷パブリックシアターにて行いました。
『A Number—数』で父・ソルターを演じる堤真一、その息子・B1、B2、マイケルの 3 役を演じる瀬戸康史、 『What If If Only―もしも もしせめて』で 某氏を演じる大東駿介、現在と未来を演じる浅野和之の4名が、初日に向けた意気込みを語りました。

 

—いよいよ明日、初日公演を迎えられますが、今のご心境や意気込みをお聞かせください。
堤:長い稽古期間を経て、いよいよ明日開幕なのですが、気持ちとしてはまだまだ稽古をしたいですね。でも、いい作品に仕上がっていると思うので、楽しみにしてください。
瀬戸:稽古が本当にあっという間で、堤さんと同じように、あと半月くらいは稽古したかったな。という気持ちが正直あります。僕は三役演じるのですが、(ネタバレが怖くて)言えることがあまりないのですが、ぜひ観ていただいて、ご理解いただけたらなと思います。
大東:あまりない二本立ての企画なのですが、稽古期間も一緒で。ただ、作品の尺でいうと僕らは(『What If If Only―もしも もしせめて』は)半分以下くらいなんですよね。だから、お二人(堤・瀬戸)は時間が足りないって言ってるんですけど、僕たちは割と十分、たっぷりとありましたね。出し切った感じです。本番が楽しみです。
浅野:作品としては短いのですが、もう何十年もやってきましたけど、初日というのはいつも緊張するので、心臓が明日はきっとバクバクしていることと思います。ぜひ楽しみにしてください。

 

—ご自身が演じる役柄と見どころやお気に入りのシーンを教えてください。
堤:ソルターというちょっと愚かな父を演じます。虐待した子供がいるんですけど、その人生をやり直すためにその子のクローンを作って育てる。でもそれが全てバレてしまうことによって愛する息子にも嫌われてしまうという、本当に愚かなおっさんだと思ったんですけど、彼がなぜそうなったのかというものの考え方と、最終的にどこに罪の意識を抱いていくのかという部分も見えると思うので、そこはしっかり観ていただきたいなと思っています。
瀬戸:三役演じるのですが、僕の衣裳・髪型の変化は劇場でチェックしていただきたいのと、三役演じるにあたり、身体の使い方、座り方など、色々な工夫をしながら稽古の中で見つけてつくってきました。本当に苦しい作品ではありますけれど、もしかしたら最後には希望の光が少しだけ見える作品なのかなと僕は思っていますので、みなさんにも自分って何だろうとか、そういうことを感じていただける作品なのかなと思います。
大東:僕が演じるのは某氏、ある男という役です。某氏にとって大切な人を失った悲しみの中、短いけれど永遠のような時間が流れる、そういうお芝居です。台本をいただいた時点で、こんな作品に出会えるなんて、本当にありがたいな、奇跡のような体験をさせてもらっているなと感じました。僕が出てなくても、三回くらい観にいってるんじゃないかと思います。でも出てる方が嬉しいですよ。ありがとうございます。
浅野:見所としては、(舞台に)出てくる時が一番楽しいかなと思っています。少し分かりにくいなと思うところもあったりするかもしれませんけど、感じていただければいいんじゃないかと。あまり頭をつかって観ようと思わずに、何となくこう言ってるんだなと、それぞれの方が感じていただければと思っています。ですから、どうぞお楽しみください。

 

—稽古中に印象に残ったエピソードがあれば、教えてください。
堤:今回クローンということで、遺伝子工学を専門とする方の講義を受けました。楽しかったですね。知識として、その倫理的な部分も含めて、すごくいい講義を受けられたなと思っています。
瀬戸:僕たちが「これから立ち稽古頑張るか」という日ぐらいに、大東さんが「もう俺たちは通し稽古で」という言葉をかけて去っていったのがすごく印象的で、そこからの焦りが半端じゃなかったです。
大東:ごめんな。僕たちも心理学の先生に来ていただいて、悲しい体験をされた方の悲しみの段階、感情の段階について講義を受け、すごく勉強になりました。自分の作品とは関係ないのですが、クローンの講義も受けて、やっぱり自分たちの作品にも繋がるところがありました。この二作品が同時に上演されるのは、今回初めてのことですが、両作がちゃんと寄り添うようにあるのは本当にすごいことだなと、その先生にお話を伺う段階で感じることができました。
浅野:稽古が始まる前にみんなでバレーボールをやるのですが、それが一番楽しい。かなり盛り上がりました。最長で60回ぐらいパスを繋ぎました。チームワークを作っていくのと、身体をほぐすのと、心がほぐれていくというか。芝居はキャッチボールですから、非常に大事なことです。そういう意味では非常に楽しかったし、僕はためになっていたと思います。

東京公演は2024年9月29日(日)まで。その後、10月4日(金)〜7日(月)は大阪・森ノ宮ピロティホール、10月12日(土)〜14日(月・祝)は福岡・キャナルシティ劇場にて上演します。
ぜひ劇場へ足をお運びください。

撮影:細野晋司