プルートゥ PLUTO

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2018.03.01 UP

ロンドン劇評 その2

Financial Times

★★★★★ by  イアン・シャトルワース (Ian Shuttleworth) 2018年2月12日

 

スリリングで爆発的なビジュアル

漫画にインスピレーションを受けたシディ・ラルビ・シェルカウイの作品は

素晴らしく複雑だ。

 

最近、アニメ、漫画やグラフィック・ノベルを原作とする舞台作品がよく見られるようになったが、結果的にテクノロジーを少し見せびらかせただけで、作品の本当の深みが無いものがほとんどだ。

しかしながら、シディ・ラルビ・シェルカウイがBunkamuraシアターコクーンとのコラボレーションで作った、『プルートゥ PLUTO』(原作『PLUTO』:浦沢直樹×手塚治虫 長崎尚志プロデュース 監修/手塚眞 協力/手塚プロダクション 小学館)は、

その表現方法同様に、内容も複雑だ。それは物語だけでなく、テーマへのこだわりに関しても言える。

(中略)

スリリングで爆発的なビジュアルからは目が離せない。上田大樹(映像・装置)は台と飛び入るように舞台に現れる平面の組み合わせによって家具や、背景、(映像が映し出されることによって)漫画枠にもなる複雑なセットをデザインした。

視覚的要素のディテールは素晴らしく、舞台前方の動かないはずの瓦礫の山が揺れて見えたりするのは、もはやどんな方法を使っているのかわからない。

(中略)

完璧とは言えない。しかし、長過ぎる舞台を沢山観てきた後、この作品の3時間は長く感じなかった。

そして、このようなジャンルの作品も目新しいだけで終わらず、素晴らしい舞台作品となりうる希少な証明となった。