民衆の敵

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2018.10.26 UP

演出家のジョナサン・マンビィ氏からメッセージ到着!その1

『民衆の敵』演出家のジョナサン・マンビィ氏から熱いメッセージをいただきました。

2回に分けてみなさんにお届けいたします。

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『るつぼ』の成功に続き、こうしてBunkamuraに戻ってくることができ、そして、この素晴らしい劇場、才能豊かな日本の皆様とコラボレートできることを大変嬉しく思っています。

 

−作品について

『民衆の敵』は、ノルウェーの大劇作家ヘンリック・イプセンによる、並外れた傑作戯曲です。見事なスピード感とほとばしるエネルギーを以って書き上げたこの戯曲は、ヨーロッパにおけるレパートリーの代表作として、1882年の初演以来、時代を超え観客に真っ直ぐに語りかけてきました。折に触れこの戯曲を探究したいと思っていましたが、近年、これこそ自分が次に演出すべき、そして観客の心をとらえる作品だと感じてきました。

 

イプセンは、この戯曲を執筆する時、燃えるような野心を抱いていました。これは、『幽霊』という戯曲への、観客や批評家達の批判に対する強い反発だったのです。マスコミと観客達の多数意見を攻撃するような回答をこの戯曲で書こうとしたのです。これは真実、偽善、そして困難に直面してなお個人が発言する勇気を描いた物語です。我々が真実と信じるもののために立ち上がり、自由意志や自主性を脅かす否定的な力と戦うために。“ポスト真実”のトランプ主義のこの世界、責任ある人達をもはや信じることができない世界で、意味あるかたちで彼らを問責し道徳的指針によって裁く、本当に今の時代に必要な作品なのです。

 

−見どころについて

素晴らしい俳優である堤真一さんが演じる、トマス・ストックマンという主人公と同じく、市民達もしくはタイトルにもある「民衆」が非常に重要な役割を担っています。今回、大人数のアンサンブルキャストの方達にご参加いただき、この市民達を演じてもらえることをとても楽しみにしています。彼らは、この時代を超えた名作の精神とエネルギーを舞台上にもたらし、その核にある“コミュニティ”を体現してくれることでしょう。

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メッセージその2はこちら