シアターコクーン・オンレパートリー2017 DISCOVER WORLD THEATRE vol.2 危険な関係シアターコクーン・オンレパートリー2017 DISCOVER WORLD THEATRE vol.2 危険な関係

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パリ社交界に生きる男と女の息をのむ心理戦
危険な恋愛ゲームに真の勝者はいるのか?

 昨年10月の『るつぼ』(ジョナサン・マンビィ演出)に続き、シアターコクーンにて海外演出家による“DISCOVER WORLD THEATRE“第2弾が登場する。上演作は18世紀フランスの作家ピエール・ショデルロ・ド・ラクロの恋愛心理小説を原作にした『危険な関係』。数多く映画化されてきた人気作だが、特にイギリスの劇作家クリストファー・ハンプトンが1985年に戯曲化した舞台はロイヤル・シェイスクピア・カンパニー(RSC)で初演され大ヒット。日本では1988年にデヴィッド・ルヴォー演出で初演を果たし話題を呼んだ。

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 今回演出を手掛けるのは、日本初登場となるRSC出身の俊英リチャード・トワイマン。現在イングリッシュ・ツアリング・シアターの芸術監督を務め、海外での演出経験も豊富だ。シェイクスピアから現代劇作家まで幅広く手掛け、2009年オリヴィエ賞3部門受賞の『ザ・ヒストリーズ』では、『ヘンリー四世』第2部の演出を担った逸材である。
 18世紀末のパリ社交界を舞台に、稀代のプレイボーイ、ヴァルモン子爵と、艶やかな社交界の華、メルトゥイユ侯爵夫人が仕掛ける爛れた恋愛ゲームを描く本作。上流階級の優雅な戯れと見せかけつつ、男と女の激しい生存闘争でもあり、そのパワーゲームは実にスリリングだ。演出にあたりトワイマンは「戯曲の内容を丹念に追い、現代の日本の観客に語りかけられるように表現したい」と意気込む。
 ヴァルモン子爵には4年ぶり2度目の舞台出演となる玉木宏、メルトゥイユ侯爵夫人には鈴木京香という顔合わせが早くも注目を集め、恋愛ゲームに翻弄される貞淑なトゥルヴェル法院長夫人には野々すみ花が扮するほか、若手からベテランまで厚みのあるキャスト陣が揃った。トワイマンは既に日本で俳優とワークショップを行い、「勉強したい、吸収したいという姿勢に強く感銘を受けた」と手応えを掴んでいる。背徳の危険なゲームの行く末を、息をのんで見詰めてほしい。

STORY
ストーリー

原作は18世紀末のパリ、華麗なる社交界が舞台。
社交界に君臨する妖艶な未亡人メルトゥイユ侯爵夫人(鈴木京香)は、かつての愛人ジェルクール伯爵への恨みから、その婚約者セシル・ヴォランジュ(青山美郷)の純潔を踏みにじろうと稀代のプレイボーイであるヴァルモン子爵(玉木宏)に助力を求める。しかしヴァルモンは、叔母ロズモンド夫人(新橋耐子)のもとに滞在している貞淑なトゥルヴェル法院長夫人(野々すみ花)を誘惑しようとしているところで、その依頼を断る。ところがセシルの母ヴォランジュ夫人(高橋惠子)こそが、トゥルヴェル夫人に彼を非難し近づいてはならぬと忠告していることを知り、ヴォランジュ夫人への復讐を決意、メルトゥイユ夫人の計画にのる。
一方、清純なセシルは純粋な若き騎士ダンスニー(千葉雄大)と恋に落ちていた。そこにメルトゥイユ夫人の策略が、そしてヴァルモンはトゥルヴェル夫人を誘惑に……。
二人が仕掛ける退廃に満ちた恋愛ゲームが繰り広げられていく。

各国で数多く映画化された名作

各国で数多く映画化された名作

1959年 フランス映画『危険な関係』 ロジェ・ヴァディム監督

出演:ジェラール・フィリップ、ジャンヌ・モロー
設定を現代の上流社会におきかえ、音楽にはモダンジャズを使用したことでも有名な作品。

1988年 アメリカ映画『危険な関係』 スティーブン・フリアーズ監督

出演:グレン・クローズ、ジョン・マルコヴィッチ、ミシェル・ファイファー
原作の時代を忠実に描いたハリウッド豪華スターの共演作。若き日のキアヌ・リーブスも出演。アカデミー賞の3部門を受賞した格調高い映像美の名作。

2003年 韓国映画『スキャンダル』 イ・ジョエン監督

出演:ペ・ヨンジュン、イ・ミスク、チョン・ドヨン
李朝末期の朝鮮を舞台にペ・ヨンジュンを主演に韓国で映画化。

2012年 中国映画『危険な関係』 ホ・ジノ監督

出演:チャン・ツィイー、チャン・ドンゴン、セシリア・チャン
1931年の上海に舞台を置き換えて映画化。チェン・ツィイーなどアジア圏のスターが共演した。

日本では…

1997年に宝塚歌劇団(雪組)が「仮面のロマネスク」としてミュージカル化。2012年に再演、その際には今回出演の野々すみ花もメルトゥイユ侯爵夫人役で出演。
また、2005年東海テレビ・フジテレビ系列で、ラクロの小説を原作に高橋かおり主演で「危険な関係」という同名タイトルでドラマ化もされた。

STAFF
スタッフ

演出:リチャード・トワイマン

ロンドン・ロイヤルコートにて、インターナショナル・アソシエイト・ディレクターを務め、数々の話題作を演出した後、2016年秋より、英国内随一のプロデューシングカンパニーである、イングリッシュ・ツアリング・シアターの芸術監督を務める。それ以前は、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)にて研鑽を積み、14作品のクリエイションに携わる。その中でも、彼の演出した『Henry Ⅳ』は2009年オリヴィエ賞3部門を受賞。さらにEvening Standard Editors Choice Awardも受賞した。

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ナショナルシアターにてピーター・ホール演出の『Twelfth Night』にも参加、Bush Theatre, Old Vic, Bath Theatre Royalなど様々な劇場で演出。また、ウエストエンドにて『The Mystery of Charles Dickens』を演出するなど、若手ながら確かなキャリアを積み、ロンドン演劇界にて脚光を浴びている。ロイヤルコートにて、2015年2月~パレスチナ劇作家の新作戯曲『Fireworks』を演出。同劇場にて、同年12月に『You For Me For You』、2016年も『Torn』を演出し、高い評価を得ている。イングリッシュ・ツアリング・シアターにおいては、本年2月に『OTHELLO』を演出、こちらも批評家達から絶賛を浴びた。

美術・衣裳:ジョン・ボウサー

ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)のアソシエイト・アーティストとして『ハムレット』『リア王』『冬物語』など多数のシェイクスピア作品の舞台をデザイン。ロンドンパラリンピック(2012年)の開会式のデザイン、ソチパラリンピック冬季競技大会(2014年)のキネティックトーチのデザインなども手掛ける。『You for me for you』(リチャード・トワイマン演出)、『The Seagull』『Bugsy Malone』『The James Plays』などの舞台デザイン多数。2014年、イギリス劇場賞受賞(『Mametz』のデザイン)。

CAST
キャスト

  • 玉木宏:ヴァルモン子爵

    プロフィール

    1980年生まれ。愛知県出身。1998年、ドラマ『せつない』で俳優デビュー。2007年、ドラマ『氷壁』『功名が辻』『トップキャスター』『のだめカンタービレ』の4作品でエランドール賞、新人賞を受賞。連続テレビ小説『あさが来た』では、主人公の夫役を好演した。主な出演作に、TV『鹿男あをによし』『砂の器』『残念な夫。』『キャリア~掟破りの警察署長~』、映画『ただ、君を愛してる』『真夏のオリオン』『幕末高校生』『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』、舞台は2013年『ホテル マジェスティック~戦場カメラマン澤田教一 その人生と愛~』以来、4年ぶり2度目となる。公開待機作に、『悪と仮面のルール』(2018年公開予定)、『ラブ×ドック』(2018年公開予定)がある。

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  • 鈴木京香:メルトゥイユ侯爵夫人

    プロフィール

    1968 年生まれ。宮城県出身。1989 年、映画 『愛と平成の色男』で女優デビュー。1991 年、連続テレビ小説 『君の名は』でヒロイン真知子役を演じ、広く知られるようになる。1995 年のテレビドラマ、『我慢できない!』ではコミカルな演技を披露し、それ以降は人気ドラマに次々と出演。ドラマ『王様のレストラン』(1995年)を皮切りに、三谷幸喜作品の常連出演者となり、さまざまな役柄を柔軟にこなす。近年の主な出演作に、ドラマ『セカンドバージン』『夜行観覧車』『だから荒野』『荒地の恋』、映画『清洲会議』『救いたい』『おかあさんの木』、舞台『声』『鼬』『家族の基礎~大道寺家の人々~』などがある。

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  • 野々すみ花:トゥルヴェル法院長夫人

    プロフィール

    1987年生まれ。京都府出身。2005年に宝塚歌劇団入団。清楚な美しさと演技力で早くから注目を集め、2007年『舞姫-MAIHIME-』で初ヒロインを務める。2009年宙組『大江山花伝』でトップ娘役に昇格。『銀ちゃんの恋』『カサブランカ』『誰がために鐘は鳴る』など多くの代表作に恵まれ、2012年『華やかなりし日々/クライマックス』にて退団。退団後は2013年、蜷川幸雄の舞台『祈りと怪物 〜ウィルヴィルの三姉妹〜』で女優デビュー。2014年、NHK木曜時代劇『吉原裏同心』で吉原遊廓の頂点に立つ、薄墨太夫役を演じ、本格的なドラマ出演を果たす。2015年連続テレビ小説『あさが来た』では粋で色っぽい三味線の師匠・美和役を演じ、注目を集めた。
    本年6月に、舞台『君が人生の時』に出演。

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  • 千葉雄大:ダンスニー騎士

    プロフィール

    1989年生まれ。宮城県出身。2010年、『天装戦隊ゴセイジャー』で俳優デビュー。2017年、『殿、利息でござる!』で第40回日本アカデミー賞新人俳優賞、受賞。主な出演作に、ドラマ『家族ノカタチ』『家売るオンナ』『しあわせの記憶』『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』『ソースさんの恋』10月から連続テレビ小説『わろてんか』 に出演。
    映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』『モヒカン故郷に帰る』『暗黒女子』『ReLIFE リライフ』『帝一の國』『兄に愛されすぎて困ってます』公開待機作に、『亜人』(9月30日公開予定)舞台は2011年『タンブリング』、2012年『ラヴ・レターズ』以来となる。

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  • 青山美郷:セシル・ヴォランジュ

    プロフィール

    1994年生まれ、兵庫県出身。2011年夏、ソニー・ミュージックアーティスツ主催の女優発掘オーディション『アクトレース』に合格。翌年結成された「劇団ハーベスト」に所属し、年間約3本の公演を行っている。舞台は他に、『墓場、女子高生』『タンゴ・冬の終わりに』『新世界ロマンスオーケストラ』などに出演している。2013年日本マクドナルド「朝マック」のCMでデビューすると、2014年、映画『思春期ごっこ』で初主演を果たす。主な出演作に映画『円卓』、『人狼ゲーム ビーストサイド』、『TOKYO CITY GIRL』、『ボクは坊さん。』、ドラマは『夫婦善哉』『徒歩7分』『鼠、江戸を疾る 2』、『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』などがある。

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  • 佐藤永典:アゾラン

    プロフィール

    1990年生まれ。埼玉県出身。2008年、ミュージカル『テニスの王子様』でデビュー。以後舞台を中心に映画・インターネットテレビなど様々なジャンルで活躍。また、音楽鑑賞の趣味からピアノやギターなどの演奏にも長けている一方、オリジナルのグッズを発売するなど、演技以外の部分でも才能を開花している。主な出演作に、舞台『冒険者たち』『遠ざかるネバーランド』『少年探偵団』『ロミオとジュリエットのハムレット』『ライチ☆光クラブ』『孤島の鬼ー咲きにほふ花は炎のやうにー』、テレビ『ビットワールド』『男水!』、映画『君へのメロディー』『ライトノベルの楽しい書き方』『Please Please Please』がある。

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  • 土井ケイト:エミリー

    プロフィール

    1989年1月17日生まれ、28歳。アメリカ合衆国出身。19歳で蜷川幸雄主催「さいたまネクスト・シアター」旗揚げメンバーのオーディションを、約30倍の競争率の中、勝ち抜き見事、合格。2009年さいたまネクスト・シアター旗揚げ公演『真田風雲録』にて初舞台を踏む。2013年に退団するも、その後も蜷川幸雄作品に毎年出演。近年の主な出演作に『ガラスの仮面―二人のヘレン―』『ハムレット』『オイディプス王』『ヘンリー4世』『皆既食』『お気に召すまま』など。2015年には『海辺のカフカ』でワールドツアーが行われ、ロンドン・ニューヨーク・シンガポール・ソウル・東京にて上演された。また、2017年5月にはTOKIO松岡昌宏さんとの二人芝居である『ダニーと紺碧の海』にてヒロインに抜擢され話題となった。8月13日からは、舞台『チック』に出演予定。

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  • 新橋耐子:ロズモンド夫人

    プロフィール

    1944年生まれ。東京都出身。文学座所属。1968年文学座本公演『女の一生』にて初舞台。以来劇団での代表作『にごりえ』『華岡青州の妻』『三人姉妹』などに出演し、『怪談牡丹燈籠』『ふるあめりかに袖はぬらさじ』では故・杉村春子氏の当たり役を引き継ぐ。またシェイクスピア劇『リア王』『ハムレット』をはじめ、『キル』『近松心中物語』『鹿鳴館』『タンゴ・冬の終わりに』『元禄港歌』など、外部出演も多数。『雨』『山吹』にて 第12回紀伊國屋演劇賞個人賞、『頭痛肩こり樋口一葉』にて第2回読売演劇大賞優秀女優賞を、また本年『食いしん坊万歳!』にて第42回菊田一夫演劇賞を受賞。

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  • 高橋惠子:ヴォランジュ夫人

    プロフィール

    1955年生まれ。北海道出身。1970年、映画『高校生ブルース』で主演デビュー。同年『おさな妻』でゴールデンアロー賞新人賞受賞。映画、テレビ、CMの主演に加え、1997年からは舞台へも活動の場を大きく広げている。主な出演作に、TV『金曜日の妻たちへⅡ』『信長 KING OF ZIPANGU』『神はサイコロを振らない』『シャル・ウィ・ダンス? オールスター社交ダンス選手権』、映画『TATTOO〈刺青〉あり』『花物語』『ふみ子の海』『歌謡曲だよ、人生は』『カミハテ商店』『赤い玉、』、舞台『近松心中物語~それは恋~』『ハムレット』『雁の寺』『藪の中』『藪原検校』『山ほととぎすほしいまま』がある。

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  • 冨岡弘:家令、召使

  • 黒田こらん:女中