シアターコクーンオンレパートリー2016『元禄港歌-千年の恋の森-』

POINT見どころ

大きな評判となった『近松心中物語』の翌年、秋元松代(作)×蜷川幸雄(演出)が再タッグを組んで誕生した『元禄港歌―千年の恋の森―』(80年)。幻想的かつ劇的な美しさに観客が熱狂した傑作が、来年1月、初演から36年ぶりに復活することが決定した。
物語の舞台は元禄時代、播州の活気ある港町。廻船問屋の大店「筑前屋」の人々と、三味線弾きを生業とする瞽女( 盲目の女芸人)たちの運命が絡み合う、情念渦巻く、哀しい物語だ。男女、そして親子の情を描いた世界が、丹念に彫り込まれた登場人物たちによって立ち上がる。研ぎすまされ、情感溢れるせりふの数々、降りしきる椿の花をはじめとするイメージ豊かな美術、美空ひばりが歌う劇中歌(作曲は猪俣公章)、辻村寿三郎の人形の躍動といった、めくるめく場面展開も伝説として残る。あの感動を再び味わいたい観客、また、目撃できなかった観客にとって、待ちきれない作品となりそうだ。
キャストにも、当代随一の俳優が集結。瞽女の座元としてたくましく生きる【糸栄】に歌舞伎界のトップランナー市川猿之助、幼いころ親と別れ、糸栄の長女として育てられた【初音】に近年ますます輝く宮沢りえと、豪華な顔ぶれがそろった。そこに華を添えるのは、大店の放蕩息子【万次郎】役の高橋一生、万次郎との身分違いの恋に悩む初音の妹【歌春】の鈴木杏といった若手実力派。そして、哀しい運命に翻弄される【信助】に名 優・段田安則が決定した。
「とにかく美空ひばりさんの曲がすばらしく惚れ込んだ。思いきりお客様を泣かせたい」(猿之助)、「またもや大きなハードルを与えていただいた恐怖と興奮に満ちています」(宮沢)、「哀しくて、きれいで、とにかく美しい。底辺で生きる人たちも細やかに描かれた戯曲」(段田)と、キャストも作品に魅入られている様子。
新年早々、蜷川幸雄が再び解き放つ、渾身の舞台にご期待を。

STORYストーリー

元禄のころ。播州のある富裕な港町は陸へあがった船頭を相手に客を引く男女などで賑わっている。
いつも町の若者を引き連れ羽振りをきかせている【万次郎】は廻船問屋の大店・筑前屋の次男坊。今日も些細なことから町人との揉み合いが始まった。そんな時、筑前屋の長男【信助】が江戸の出店から戻り、弟をいさめる。そこに二人の母親、女将の【お浜】も現れる。交錯する母息子の視線。
そこへ三味線の音。手引きの【歌春】を先頭に座元の【糸栄】、【初音】、それに続く女たち。旅から旅に明け暮れながら年に一度この港町にやってくる瞽女の一団である。
その晩、筑前屋の座敷で弾き語られた瞽女たちの「葛の葉子別れ」。千年の森の奥から恋しい男のため白狐となり逢いに来た女が、人里の男を恋した罰に生まれたばかりの子と別れて再び森に帰らねばならぬという悲しい物語。涙ながらに語る糸栄に、信助の心に熱いものが去来する。母恋しさに心乱れるまま、初音に、自身の出生に疑いを持っていることを口走り、糸栄のことを問いかける。何も答えずに去る初音。
同じ夜。万次郎はもう三年の仲となる歌春と逢っていた。それに感づいていたお浜は、職人の【和吉】を歌春の婿にと引き合わせ、二人の仲を裂こうと画策する。その報告を夫の【平兵衛】にしているなか、信助の出生に関して、思わず恨み節を口にするお浜であった。信助を不憫に想う平兵衛と、実の子万次郎を店の後継ぎにしたいお浜、烈しい夫婦の諍い。
一夜明けて、阿弥陀堂では虐げられている念仏信者たちと共に、信助を幼少期より慕う初音、万次郎への想いを断ち切る決心をした歌春、我が子信助への思慕を隠し通そうとする糸栄らが、一心に念仏を唱えている。
次第に初音に心惹かれて行く信助は、同時に糸栄が自分の生みの母であることを確信していく。
数日後。筑前屋では、万次郎が舞う奉納の能楽の準備が進められている。そこへ、歌春から万次郎との関係を聞き及んだ和吉が血相を変え怒鳴り込んでくるが、権高に追い払う筑前屋の面々であった。謹慎を受けた万次郎に代わり信助が務める能楽が始まった、その時。客席から黒い影が飛び出し、能面を付けた信助に毒壺が投げつけられる―

CASTキャスト

COMMENTコメント

  • 演出:蜷川幸雄(シアターコクーン芸術監督)

     初演で苦労をしたこの作品を再演できるのはとても嬉しい出来事です。 りえちゃんがいて、段田さんがいて、良い俳優たちとの仕事はこれ以上ないほどの喜びでもあります。
    そして、この仕事で猿之助さんとご一緒できるとは思っていませんでした。とっても嬉しいです。
    猿之助さん、楽しみにしています!

  • 糸栄:市川猿之助

     蜷川さんは役者を大切にしてくださる演出家で、真綿にくるんで大事にしてくださるような現場です。
     今回僕が演じるのは瞽女(盲目の女芸人)の座元・糸栄で、嵐徳三郎さん、藤間紫さんという諸先輩方がやられた役。瞽女ものには独特の魅力があるんですよね。歌舞伎にも演目がいくつかありますが、流浪の民のもの哀しさとでもいいましょうか。秋元松代先生の脚本も素敵で演出は蜷川幸雄さんで、豪華な共演の皆様。挿入歌は美空ひばりさんで、辻村寿三郎さんの素晴らしい配色の着物……。いい舞台にしないと、よっぽど役者がヘタということになってしまいます。
     実はひばりさんは実際にお会いしたことがあるんです。今まで会った人の中で一番のオーラでした。とにかくひばりさんの歌でお芝居がしたかったんです。でも劇中で曲が掛かるのは宮沢さんと段田さんの場面なので、僕のところにも流してくれないか、蜷川さんにお願いしないといけませんね(笑)。

  • 初音:宮沢りえ

     描かれている感情はストレートですし、色気のある、匂いたつような戯曲。私が演じる初音は瞽女ですが、盲目であるがゆえに見えるものがあるだろうし、そこを深く考え、何を掴めるかが課題ですね。太地喜和子さんと富司純子さんが演じられた映像も拝見しましたが、お二人とも全然違う初音像を演じていました。先輩たちのステキなところも学び、私なりの初音を見つけたいです。これまでと違う表現方法を探っていかないと成立しないだろうと思います。「こんな宮沢りえがいたんだ!」とお客様に思っていただきたい、そういう自分に会いたいという欲は自分自身が一番持っています。いつも表現することに誠実でいらっしゃる猿之助さんと初めてご一緒できるのも楽しみです。
     蜷川さんは、いつも強く背中を押してくださって、殻をやぶる原動力をくださる方。今回も背中を蹴られるぐらいの勢いでぶつかっていこう!と思っています。

    宮沢りえ コメント動画
    ロングバージョン
    ショートバージョン
  • 万次郎:高橋一生

     蜷川さんの演出を受けた『から騒ぎ』では女方をやらせていただきました。その時、大河ドラマ「風林火山」での共演以降仲良くしてくださっている亀さん(市川猿之助。当時亀治郎)に、女性らしい所作を分かりやすく、的確に教えていただきました。その亀さんとまたお芝居でご一緒できるのが光栄です。
     この物語は普遍的な、今の時代でも共感し得る要素もしっかり存在している物語だと思っています。クラシックであることを尊重しながら、現代の感覚を物語の中に発見するのは課題ですし、その作業がどうなっていくか楽しみでもあります。
     人間は、多面的だと思っています。そういう複雑さを、実感しながら演じられたらと思っていて、万次郎は一見、軽い男に見えるんですが真面目な部分もある。いつも僕は演技をする上で、相反するものを演じたいと思っているので、この役でもそういった重層的なことをどう演じきれるか。その作業はとても面白いだろうなと思っています。

  • 歌春:鈴木杏

     今回も、蜷川さんの千本ノックを全身で受け止める覚悟を決めて……という感じです。私が演じる歌春は、瞽女の家族の中で一人だけ目が見えるということで、みんなで移動するときには先頭に立って先導をするという役目もあります。「私が支える」という大人の部分に、家族にかわいがられている女の子の、可愛らしさがにじみ出ている人なんだろうと想像していて。……それにしても、好きな人がいても、身分が違うからとあきらめて、見合う人のところへ「お嫁にいかなきゃ」と思えるのは、本当にしっかりものですよね。自分の感情だけじゃなくて、現実的なところがある。「でも万次郎さんのことは好き」という、"いったりきたり"の、揺れる気持ちをどう表現できるかは大きな課題の一つです。
     ステキな座組のなかで、たくさん学びたいです。若さゆえの哀しさ、切なさ、そのような"風"を入れられるといいなぁ、と思っています。

  • 信助:段田安則

     底辺で生きている人たちの生き様を、哀しく、きれいに描いた作品。椿が落ち続けるビジュアルも美しいですし。同じ秋元松代さんの戯曲『近松心中物語』で挿入される森進一さんの歌も良かったですけれど、今作の美空ひばりさんの歌も素晴らしいんです。視覚でも音楽でも、理屈抜きに日本人が「いいなぁ」と思える要素がそろっているので、お客様の中に無条件に"分かる"という感覚がわき起こる舞台にしたいと思っています。
     僕が演じる信助は平幹二朗さんがやられた役で、能を舞う場面もあって……。自分にとって課題が多い役柄です。でも僕は京都出身なので、この作品で描かれる上方のニュアンスは非常に自分にピタリときますし、せりふを忘れた時にもすぐアドリブが出てくるでしょう(笑)。その土地で何百年も話されてきた言葉が持つ力によって、どんどん、世界が立ち上がってくる。そんな芝居の中でお芝居ができるのが楽しみなんです。

OUTLINE&TICKET 公演概要&チケット情報

  • 概要
  • チケット情報

スタッフ

作:秋元松代 演出:蜷川幸雄
音楽:猪俣公章 劇中歌:美空ひばり 衣裳:辻村寿三郎
美術:朝倉摂 照明:吉井澄雄 効果:本間明
音響:井上正弘 振付:花柳寿楽 衣裳コーディネーター:川崎員奥 演出補:井上尊晶 舞台監督:芳谷研 美術補:松野潤 美術助手:中越司 照明助手:鈴木尚美  かつら:細野かつら、光峯床山、志賀ヘアデザイン事務所 メイク:千葉友子 方言指導:大原穣子 三味線指導:松永忠一郎 能楽指導:辻井八郎 邦楽指導:田中傳左衛門 歌唱指導:島田久子 宣伝広報:ディップス・プラネット

出演

市川猿之助、宮沢りえ、高橋一生、鈴木杏、市川猿弥、新橋耐子、段田安則

青山達三、大石継太、市川弘太郎、市川段之、市川猿三郎
市川澤五郎、市川裕喜、市川段一郎、市川澤路、市川笑羽、市川郁治郎、市瀬秀和、清家栄一、妹尾正文、手塚秀彰
岡田正、飯田邦博、塚本幸男、新川將人、堀文明、澤魁士、石井淳、石母田史朗、後田真欧、由利昌也
水谷悟、西村聡、石原由宇、萩原亮介、立和名真大、山本道子、加藤弓美子、羽子田洋子、難波真奈美、小澤美和
美奈瀬杏、菅野園子、三輪裕美子、土屋美穂子、棟形寿恵、今井あずさ、今橋由紀、舩山智香子、沖田愛、山田麻里名
阿部優哉、前田えると、大内天、庄野琉惺
鹿島由愛、林日葵、安生悠璃菜、萩原羽奈、大石未来、小熊莉々葉、河合陽子、福岡沙彩

公演日程

2016/1/7(木)~1/31(日)

1/7(木)18:30
1/8(金)18:30
1/9(土)13:00/18:30
1/10(日)14:00
1/11(祝)13:00/18:30
1/12(火)休演
1/13(水)14:00
1/14(木)13:00/18:30
1/15(金)18:30
1/16(土)13:00/18:30
1/17(日)14:00
1/18(月)休演
1/19(火)14:00
1/20(水)14:00
1/21(木)13:00/18:30
1/22(金)14:00
1/23(土)13:00/18:30
1/24(日)14:00
1/25(月)休演
1/26(火)14:00
1/27(水)14:00
1/28(木)13:00/18:30
1/29(金)14:00
1/30(土)13:00/18:30
1/31(日)13:00

2016年
1月
7
(木)
8
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10
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12
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16
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17
(日)
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(火)
20
(水)
13:00      
     
   
14:00              
18:30          

2016年
1月
21
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30
(土)
31
(日)
13:00    
     
14:00          
18:30            

会場

Bunkamuraシアターコクーン

[主催]
Bunkamura

[主催/企画・製作]
Bunkamura
[協力]
松竹株式会社

[大阪公演]
2016/2/6(土)~2/14(日)シアターBRAVA!
お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)
http://www.kyodo-osaka.co.jp/

料金

S席・13,500円  A席・10,000円  コクーンシート・6,500円 (税込)

※コクーンシートは特にご覧になりにくいお席です。予めご了承のうえご予約・ご購入ください。
※未就学児童のご入場はご遠慮いただいております。
※車椅子でご来場のお客様は、当日スムーズにご案内させて頂くため、公演前日までにBunkamuraへご連絡ください。
※営利目的でのチケットのご購入ならびに転売は固くお断りいたします。

MY Bunkamura先行販売

抽選制

受付期間:2015/10/01(木)12:00 ~ 10/09(金)23:59

※お申込みは1登録者につき1回、1公演のみ4枚まで
※抽選結果は10/13(火)よりメールにてご案内いたします。
※抽選結果発表予定日を過ぎてもメールが届かない場合は「マイページ」よりご確認ください。
※抽選時刻ほか抽選作業の詳細はお答え致しかねます。予めご了承ください。

一般発売

2015/10/24(土)

枚数制限

発売初日のみ1回の受付につき4枚まで

チケット取扱い

<Bunkamuraでのお申込み>
お電話でのお申込み

Bunkamuraチケットセンター(オペレーター対応/10:00~17:30)
03-3477-9912<発売日初日特電>
03-3477-9999<10/25以降残席がある場合>

カウンターでのお申込み

Bunkamuraチケットカウンター<Bunkamura1F 10:00~19:00>
東急シアターオーブチケットカウンター<渋谷ヒカリエ2F 11:00~19:00>

※本公演のBunkamuraでの一般発売日<10/24(土)>は、Bunkamuraチケットセンター特別電話およびオンラインチケットMY Bunkamura(PC・スマホ)での受付となります。Bunkamura及び東急シアターオーブチケットカウンター(店頭)での販売はございません。

<その他プレイガイドでのお申込み>

※0570で始まる電話番号は、一部の携帯電話、PHS全機種、CATV接続電話、IP電話からはご利用できません。
※音声自動応答での受付番号は、ダイヤル回線からのご利用はできません。
※10/25(日)以降は残席がある場合のみ、お取扱いいたします。

お電話でのお申込み

チケットぴあ
0570-02-9922 (発売日初日特電10:00~23:59/Pコード不要)
0570-02-9999(10/25以降 自動音声応答システム/Pコード446-397)
※毎週火曜日・水曜日の2:30AM~5:30AMはシステムメンテナンスのためお申込みいただけません。
ローソンチケット
0570-084-656 (発売日初日特電10:00~23:59/Lコード不要)
0570-084-003(10/25以降/Lコード38763)
0570-000-407(10/25以降 10:00~20:00/オペレーター対応)

インターネットでのお申込み

チケットぴあ
http://w.pia.jp/t/genroku/ (PC・携帯・スマホ共通)
ローソンチケット
http://l-tike.com/genroku/ (PC・携帯・スマホ共通)
イープラス
http://eplus.jp/genroku/ (PC・携帯・スマホ共通/PC・スマホで座席選択可能)

店頭でのお申込み

チケットぴあ
チケットぴあ店舗 
※店舗により営業時間が異なります。詳しくはhttp://pia.jp/shoplist/にてご確認ください。
セブン-イレブン、サークルK・サンクス
ローソンチケット
ローソン・ミニストップ店内Loppi
イープラス
ファミリーマート店内Famiポート(座席選択可能)

お問合せ

Bunkamura 03-3477-3244(10:00~19:00)