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昭和21年からオカマたちでにぎわい、電蓄から鳴るタンゴの曲で、ハエがとび交う町でした――。

下谷万年町物語

作・演出:岩松了

2012年1月6日(金)~2月12日(日)

Bunkamuraシアターコクーン

インタビュー

唐十郎[作]

昭和23年の下谷万年町は僕の原点です。振り返ると、今の文明はあの頃にあったものを全部排除してきました。この間にあるものはただの空白です。あの頃の無駄なものとは何だったのか。万年町の長屋の二階にはオカマ屋さんたちが棲み、午後三時には紙芝居屋がやって来て、子供たちが群がっていました。夕方になるとオカマ屋さんたちはおしろい塗って、商売に出かけていく。客を連れて帰ってきては、男だとバレて朝まで大ゲンカです。白い自分の顔を池に映したらどう見えるのか。グロテスクな100人の男娼と、男装のキティ・瓢田が交錯する。キティは恋人の洋ちゃんを探しています。グロテスクなものとリリカルなものが瓢箪池の前で交差するのです。

蜷川幸雄[演出]

唐さんの鮮烈なイメージに何とか立ち向かいたいと、ぼくはいつも必死です。初演は1981年。西武劇場に100人近い男娼の俳優を出し、池を作って長屋を建て、戯曲に書かれたことは全部やったからそりゃもう大変でした。それが衝撃的にうまく行って再演を希望する声は多かったけれど、ようやく三つの核となるいい俳優が揃って、「これなら行ける」と確信を得たわけです。美術の朝倉摂さん、照明の吉井澄雄さんをはじめオリジナルのスタッフと、若いキャストの新しい血が出会い、ケレン味にあふれ、斬新で豊かな『下谷~』になればと願っています。自分たちの小さな単位の呟きが多くなっている個の時代に、強烈な原色を持った世界を現出させたい。

宮沢りえ[キティ・瓢田]

唐さんの世界観が大好きなんです。言葉にエネルギーと美しさと儚さが混じり合っていて。大変な飛躍力を必要とする作品なのでハードルは高いけれど、蜷川さんがいてくだされば思いがけないエネルギーが生まれるはず。怖いけれどすごく楽しみです。キティ・瓢田は男装のレビュー・スター。今まで経験したことのないデフォルメした表現も必要になりそうですが、退廃的でカッコいいかと思うとすごく抜けているところもあって、魅力的です。頭でたくらむよりも、体験して、目撃して、発見していきたい。細胞をふつふつとさせるエネルギーを持って稽古に臨むつもりです。蜷川さんに檄を飛ばしていただいて、自分の想像をはるかに越えていきたいですね。

藤原竜也[洋一]

『唐版 滝の白糸』の時にはまだ10代だったこともあって、戯曲を読んでも言葉も世界観もつかめず、途方に暮れました。でも稽古に入って台詞を立体化させるうち、何て素晴らしい世界に生きているんだろう!と実感できるようになって。いまだに大好きな作品です。今回も二人の天才に身を委ねて、稽古場で大いに発見をしていきたい。一人で何かを背負って突っ走る役ではないので、みんなで大変さを共有できればと(笑)。全身をさらけ出してその空間に生きているような宮沢りえさんとの共演は喜びと同時に恐怖でもあるけれど、西島さんとの初めての出会いも楽しみですし、魂のこもった言葉のやり取りで唐さんの世界観を出せればと思っています。

西島隆弘[文ちゃん]

蜷川さんの稽古を見学させてもらうと、明確な方向性を示される方で、とても気持ちのいい現場でした。僕自身が熱い現場が大好きなので、稽古に入るのがすごく楽しみです。憧れの藤原さん、宮沢さんの仕事に対するスタンスを間近で見られるのも嬉しいですね。文ちゃんはナイーブかと思うと器用で、藤原さんと一緒の場面では急に子供に戻ったり。色々な人と出会いながら成長していくんだろうと思います。と言いつつ台本はわからないことだらけですけど(笑)、「藤原さんの本読みの様子を参考にしてみたら」と蜷川さんにアドバイスしていただきました。蜷川さんには自分のプライドをポッキリとへし折ってもらう覚悟で、一皮も二皮もむけたいと思います。

(取材・文=市川安紀)