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《ヌレエフ・ガラ》
5.9(水)18:30、10(木)14:00
《海賊》
5.12(土)12:30/18:30、13(日)14:00

ウィーン国立バレエ団 2018年来日公演

アクセスマップ

Bunkamura 東京都渋谷区道玄坂2-24-1

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Programプログラム

ウィーン国立バレエ団

 世界で最も権威あるオペラハウスとして確固たる地位を築いているウィーン国立歌劇場。皇帝フランツ・ヨーゼフI世の時代に行われたウィーン都市大改造計画の一環として、ウィーン市庁舎、ブルク劇場とともに建設されたウィーン帝立・王立宮廷歌劇場が現在のウィーン国立歌劇場の前身です。

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 1869年5月25日の杮落しには、皇帝フランツ・ヨーゼフI世と皇妃エリザベートの臨席の下、モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』が上演されました。第二次世界大戦で大きな被害を受けた後、歌劇場は2200の観客席と最新の技術を備え、再び総監督に就任したカール・ベームの指揮によるベートーヴェンの『フィデリオ』によって1955年11月5日に再オープンしました。
 今日では、ウィーン国立歌劇場は特に世界最大のレパートリーを誇る歌劇場として知られ、世界で最も重要なオペラハウスのひとつとしてその地位を確立しています。毎年9月から6月までの上演期間に、60以上に及ぶオペラやバレエのレパートリーを300回以上公演し、世界中から集まる愛好家たちを魅了しつづけています。歌劇場は、約60名の専属歌手、約80名のダンサーが所属するウィーン国立バレエ団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の楽団員が選抜されるとして世界一有名な歌劇場オーケストラ、コーラス、さらに約250名にも及ぶ専属技術スタッフで構成されています。
 歴代の総監督にはグスタフ・マーラー、リヒャルト・シュトラウス、カール・ベーム、ヘルベルト・フォン・カラヤン、ロリン・マゼールといった錚々たる芸術家の名が並びます。2010年9月1日より、総裁はドミニク・メイヤー、ウィーン国立バレエ団はフォルクスオーパー・バレエと統合しマニュエル・ルグリが芸術監督に就任。世界のバレエ界を知り尽くしたルグリによる采配で、ウィーンのバレエは、オペラと並ぶ人気を誇り世界中から注目を集めています。

Message

こうしてバレエ団とともに日本の皆様のもとに戻ってくることができるのは、大きな喜びです。芸術監督に就任以来8年の濃密な時を経て、私が当初目標に掲げていた多くのことが成し遂げられたと感じています。
バレエ団は輝きを増し、ソリストは大きく飛躍し、多様なレパートリーを広げてきました。今回の来日では、ウィーンでシーズン閉幕の恒例となった「ヌレエフ・ガラ」と、私が振付家として初めて手がけた全幕作品『海賊』をご紹介します。
異なるキャストが多彩に魅せる『海賊』と、私たちのユニークなレパートリーをご堪能いただける「ヌレエフ・ガラ」、そして舞台の上での私の姿を多くの方にお楽しみいただけることを願っています。

[芸術監督]マニュエル・ルグリ

マニュエル・ルグリ

 「もしこの人が生まれていなかったら、バレエ界は異なるものになっていただろう」そう思わせる人物は多くはないが、マニュエル・ルグリは間違いなくその一人だ。8歳でバレエを始め、16歳でパリ・オペラ座バレエ団に入団。1986年7月、ツアー先のニューヨークで、ルドルフ・ヌレエフ版『ライモンダ』に主演、当時同バレエ団の芸術監督であったヌレエフにより、エトワールに任命された。21歳、プルミエ・ダンスールを飛び越えての昇格だった。

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 ルグリには、それ以前のスター・ダンサーにはない魅力がある。それは、すべてを満たす完璧なバランス。テクニックは正確にしてダイナミック、跳躍から回転、アレグロからアダージオまですべてを得意とし、その完成度は誰もが手本としてあげるほど。音楽性は繊細で、かつ遊び心がある。表現力は詩的にしてロジカル。対をなすような特徴をすべて兼ね備えている夢のようなダンサーなのだ。

 ベテランと呼ばれる年齢になってから我々を驚かせたのは、その指導力。若いダンサーの可能性を見出し、その実力を次々と開花させていった。オーレリ・デュポン、マチュー・ガニオ、ドロテ・ジルベール…みなルグリのパリ・オペラ座時代の“教え子”だ。豊かな経験で得た膨大な知識や、改善点を適確に見出す洞察力はもちろんだが、何より人間力に秀でている。自分の持つ全てを若者に与えてあげたいと心から願え、実行できるスターがどれだけいるのだろうか。バレエ界に生きる者はその価値を知っているから、このカリスマの一語一句に全精力をかけて向き合うのだ。

 マニュエル・ルグリが、23年間のエトワールとしてのキャリアを終えた後、そのすべてを注いだのが2010年に芸術監督に就任したウィーン国立バレエ団だ。それ以前のウィーン国立バレエ団は、歴史あるバレエ団ではあるが、欧州トップのバレエ団としては少し心許なかった。音楽優勢の地において、オペラの二番手という印象が強かったのかもしれない。それが今や“バレエを観に”ウィーンを訪れる者が増えている。

 ルグリは就任後、まずダンサーのレベルアップに注力した。ルグリのもとで踊りたいダンサーは世界中から集まり、自ら彼の厳しい基準を満たすダンサーだけを選抜した。そして徹底的に鍛えた。それぞれの個性を伸ばしつつ、ルグリ流のエレガンスと厳格さを授けたのだ。その結果、たとえばロシア流の技術にフランス流のエレガンスが加わった理想のマリアージュを持つダンサーが出現したのだ。

 バレエ団の運命は、シーズン毎のレパートリーにかかっていると言っても過言ではないが、そこでもルグリは抜きんでたセンスを見せつけた。世界中の振付家を知り尽くしている彼が選ぶレパートリーは、古典から新作まで斯くあるべしと鮮やかに並び、ウィーンの地にあつらえ向きな気高さを保ちつつ、新鮮さに満ちている。観客を魅了しながら、ダンサーを育てることのできる作品の数々が、ウィーン国立バレエ団を世界トップのバレエ団に導いたのだ。

 そんなバレエ史にも残る偉業を打ち立てたルグリだが、就任10年目という節目の2020年で、芸術監督の座を退くことを表明した。「就任以来すべてのエネルギーをバレエ団に注いできた。人生の次の章を迎える時期がきた」とルグリは語る。バレエへの献身が生き様となっているルグリのことだから、ウィーンで自分ができることはやり遂げたと感じたからこその決意なのだろう。

 このバレエ団は、バレエの神とルグリによる奇跡の共同作業の結晶だ。今回の日本公演ではその集大成がおおいに披露されることだろう。この目にしかと焼き付けたい。

最強の“ルグリ・チルドレン”がここに――
ウィーン国立バレエ団が誇る至極のソリスト、総出演。

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