今最も輝けるダンサーたちの競演は見逃せない!!

愛、夢、憧れ、希望……この世に存在するそんな素敵な煌めきをすべて詰め込んだかのようなグランド・バレエ、それが熊川版『シンデレラ』。
2012年、熊川哲也のBunkamuraオーチャードホール芸術監督就任記念として世界初演を果たし、2万人を動員するなど大きな話題を呼んだこの作品は現代屈指の演出家である彼の卓抜した感性と才知が生んだ、まさに至高のファンタジー。観客をいつもこの上ない驚きと感動の渦へと巻き込んでいく。
かの有名なペローの童話とプロコフィエフの音楽という確たる古典に忠実でありながらも 独自性に富んだ解釈とアイデアが随所で光るストーリー展開、自らが世界最高峰のダンサーであればこその視点が生きた鮮やかな舞踊、そして寄せ来る波のように見る者の心をわし掴みにしてゆく、あまりにも美しい魔法の数々――。
本公演ではKバレエ カンパニーが誇る精鋭ダンサーたちに加え、先頃のジャクソン国際バレエ・コンクールで金賞を受賞し注目を集めるイングリッシュ・ナショナル・バレエの新星・加瀬栞がKバレエに初出演!

観客を瞬く間に物語の時空へと連れ去る豪壮にして神秘あふれる空間!

今にも異界へと吸い込まれそうに歪んだ摩訶不思議なフォルムの居間、夢のひと時が繰り広げられるまばゆいばかりに光輝く宮殿――。
Kバレエが誇る超人気作『白鳥の湖』や『くるみ割り人形』も手掛けた稀代の英国美術家ヨランダ・ソナベンド、レズリー・トラヴァースと演出家・熊川哲也のコラボレーションの集大成がここに!

ストーリーテラー熊川の慧眼が冴えわたる!
よく知るはずの物語に豊潤な魅力を与える独自の解釈と個性豊かなキャラクターたちの調和

男性ダンサーが演じる居丈高な継母と、かしましい二人の義姉はどこまでも意地悪で厚かましいことこの上ない。けれど、どこか憎めない愛嬌があり、物語にコミカルな魅力を添える。通常は四季の精であるところの4人の妖精は部屋のバラやティーカップ、キャンドルや庭のトンボと心優しいシンデレラが日常で慈しむものたちの精に。そんな美しい心の持ち主でありながら、不遇な日々を送る彼女の前に不意に姿を現した仙女の正体は――観客の想像にゆだねられている。


芸術監督・演出・振付:熊川哲也
©Nobuo Yano

どこまでもロマンティックに、どこまでも美しく――
熊川が舞台にかけた驚くべき魔法!

「不遇なシンデレラは仙女の魔法によって美しい姫君へと変身したのだった」この誰もが知る展開を熊川版ほどファンタジックに描いた舞台がかつてあっただろうか!ヒロインが星々に見守られながら馬車で駆け抜け、お城に向かうまでの目にも鮮やかな一連の光景はまさに魔法さながら。そして魔法が解ける瞬間でさえも、そこには舞台ならではのマジックが。

あるところにシンデレラという美しい娘がいた。意地悪な継母と二人の義姉に疎んじられ、みすぼらしい身なりをして召使いのようにこき使われる毎日を送っている。一人きりになれるひと時、自分の大切な物を詰めたカバンから亡き実母の形見を取り出し、幸せな日々を懐かしく思い起こすシンデレラ。だが、それを見た継母は、こともあろうにその形見を奪い取り、暖炉に投げ込もうとするのだった。
そこに、物乞いの老女が訪ねてくる。継母たちは追い払うが、心優しいシンデレラはこっそり部屋に招き入れ、水やパンを差し出す。

継母と義姉がいそいそと舞踏会に出掛けて行くと、取り残されたシンデレラはひとり空想の世界で遊ぶ。そんな彼女の前に先ほどの老婆が現れ、瞬く間に美しい仙女へと変身する。驚くシンデレラに仙女は魔法を見せる。花瓶に生けた一輪のバラ、庭の樹にとまったトンボ、部屋の中にあるキャンドル、そしてティーカップがそれぞれ妖精になって踊り出したのだ。仙女は「心優しいあなたを舞踏会に行かせてあげましょう」と、今度はシンデレラに魔法をかける。異次元の世界へと送られた彼女は、やがてお姫様のような美しいドレスに身を包んで姿を現す。「魔法が解ける真夜中の12時までに必ず戻ってくるのよ」と仙女。シンデレラはかぼちゃの馬車に乗り、星空のもと宮殿へと向かうのだった……。

Stage photographs by Shunki Ogawa/ Jin Kimoto/ Hidemi Seto/Ayumu Gombi