イギリス×日本×ベルギー国際共同製作 シディ・ラルビ・シェルカウイ振付最新ダンス作品

「テ ヅカ TeZukA」

2012年2月23日[木]―2月26日[日]

Bunkamuraオーチャードホール

現在、世界のダンスシーンで最も注目されている振付家 シディ・ラルビ・シェルカウイによる最新作

戦後日本を象徴し、未来をデザインし、思想的にも多大な影響を与え続けている 手塚治虫の世界観を手掛かりに、日本そして20世紀後半の世界を描く。

©細野晋司

シディ・ラルビ・シェルカウイの振付作品としては、2010年9月の「アポクリフApocrifu 」(Bunkamuraオーチャードホール)に次ぐ3度目の日本公演。

手塚治虫のマンガ、アニメ作品のほか、「創造主としての手」「マンガを描く動き=ダンスという認識」「文字と絵/書とマンガ」など、いくつかのキーワードをもとに映像を展開するライブのダンスと、音楽とのコラボレーション。
手塚の作品をそのままダンス化するのではなく、作品から沸き起こる様々なイメージをコラージュのようにつなぎあわせ、膨大な情報量を伴っていた手塚の表現を総体として把握する。そして、善悪を描くのではなくこの世界が果てしないコミュニケーションの行き違いによって成り立つことを描き続けた手塚の世界に現代社会を読み取る、シェルカウイ独自の解釈で再構築する。

©Hugo Glendinning ©手塚プロダクション

世界各地から選び抜かれた9人のダンサー、2人の武僧、3人のミュージシャン、そして日本人俳優と書道家の身体によって三次元に記述されるこの世界の過去と今。本作では、英国で絶大な人気を誇るミュージシャン・DJのニティン・ソーニーがシェルカウイとタグを組むことも注目のひとつ。ソーニーが紡ぎだすサウンドがシェルカウイの振付、そして手塚治虫の哲学といかなる化学反応を起こすのか、目が離せない。
ほかにも各界で活躍する気鋭のデザイナー、クリエイターが集結し、彼らの綿密なワークショップにより創造される、演劇とダンスの境目を超越したパフォーマンスがここに誕生する。

本プロジェクトは、英国ダンスシーンの中心としてクォリティーの高い作品を次々に発信するサドラーズウェルズ、シディ・ラルビ・シェルカウイと他ジャンルアーティストの異色コラボレーションを実現させてきたベルギーのEastman、そしてBunkamuraの三社共同製作により、手塚プロダクションの全面協力を得て、東京、ロンドンでの上演はもちろん、ヨーロッパ、アジアなどの主要フェスティバルへの参加及び、各地へのワールドツアーが予定されている。

手塚治虫:Osamu Tezuka(原拠)

手塚治虫は、1928年11月3日、大阪府豊中市に3人兄弟の長男として生まれた。
開放的な家庭に育ち、漫画とアニメーションに親しみ、機智に富んだ想像力豊かな少年であった。
また昆虫をこよなく愛し、ファーブルを思わせる少年でもあった。自身のペンネームに「虫」という字を当てたことでも、その興味の程がわかる。
戦争体験から生命の尊さを深く知り、医学の道を志して後年医学博士になるが結局彼自身が一番望んだ職業を選んだ。
すなわち漫画家、アニメーション作家である。手塚治虫が創作した漫画とアニメーションが、第2次世界大戦後の日本の青少年の精神形成の過程で果たした役割は計り知れない。
手塚は、それまでの我が国の漫画の概念を変え、数々の新しい表現方法でストーリー漫画を確立し、漫画を魅力的な芸術にした。また、彼の作品は、文学や映画をはじめ、あらゆるジャンルに影響を与えた。
同時にアニメーションにおいても、漫画におけるそれに勝るとも劣らない大きな足跡を残した。
我が国初の長編TVアニメーションシリーズ「鉄腕アトム」や、長編TVカラーアニメーションシリーズ「ジャングル大帝」、2時間TVアニメの「バンダーブック」など、これらの作品の愛すべきキャラクター達は、TVを通じて日本中を席巻し、アニメーションを大衆に深く浸透させることになった。
また手塚の作品は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの各国にも輸出され、世界の子供達の夢を育んだ。加えて大人向け長編アニメの制作など、アニメのあらゆる可能性にチャレンジした。
これらのTVアニメ、商業アニメにおける業績に加え、実験アニメにおいても国際的に大きな評価を得た。それらのすべての作品には、手塚の永遠のテーマである生命の尊さが貫かれている。
偉大な文化の創造者である手塚は、立ち止ることを知らず、常に大いなる開拓精神と飽くなき情熱と未来を見つめる確かな眼差しを持って、その生涯を走り抜けた。 1989年2月9日、その60年の生涯を閉じた。

公式サイトhttp://tezukaosamu.net/jp/