「モネ、ルノワールと印象派展」

見どころ


その1) まだ見ぬ印象派(非公開作品)を多数紹介
 今回は秘蔵のプライベート・コレクションを中心に作品を集めました。印象派が誕生したフランスはもとより、海外の美術館に足を運んでも普段は公開されていない、“知られざる印象派作品”が一堂に会します。
 ルノワールの《青い服の子供(エドモン・ルノワール)》と《レオンティーヌとココ(クロード・ルノワール)》の2点はハリウッド女優グレタ・ガルボが愛蔵していたものです。特に《青い服の子供》は、当時36才だったガルボがニューヨークのギャラリーでひと目見て気に入り、先に購入を決めていた紳士よりゆずり受けたというエピソードが残っています。「お嬢さんに譲りましょう。決して後悔はされますまい」と語った寛大な紳士こそ、印象派の一大コレクションを築いたアルバート・バーンズ(当時70才)でした。その時からふたりの交流が始まり、研究熱心だったガルボはバーンズから大いに啓発されたとのことです。

その2) モネとルノワールを並べて鑑賞する至福
 展覧会で見たい西洋画家として常に上位にランクされるモネとルノワール。モネは10点以上、ルノワールは30点近く展示されます。友人としてまたライバルとして、近代絵画の革新運動に大きな足跡を残した印象派の両巨匠が放つ光を存分にご堪能ください。モネ初期の代表作《アルジャントュイユの鉄橋》は、「第二回印象派展」に出品された歴史的な意義もある名品です。

その3) 印象派の二大潮流、「風景画」と「人物画」の流れが一目瞭然
 従来の印象派観を整理して「風景画」と「人物画」という二つの流れを明確にし構成します。モネは精緻な自然観察のもとに、風景を光と色彩に還元し、それを画面に定着させます。その流れは、ピサロ、シスレー、シニャックらへとつながります。一方、ルノワールは透明感あふれる色彩による人物表現を追及し、みずみずしい生命の描写に到達します。ロートレック、ヴュイヤール、ボナールの個性的な人体表現が並びます。

その4) テーマによる作品比較で、深まる印象派理解
 ルノワールが60歳の時に生まれた第3子クロード(愛称ココ)とその養育係として同居していた女性、レオンティーヌを一緒に描いた作品≪レオンティーヌとココ≫(グレタ・ガルボ旧蔵)、また二人をそれぞれ単独で描いた2点からは、画家の愛情あふれるまなざしがうかがえます。青い服を着た子供のモデルを油彩とパステルで描き分けた2点からは技法による味わいの違いを感じることができるでしょう。
 またセーヌ川を望むアパルトマンから、定点観測のように対岸のルーヴル宮を描いた風景はピサロのお気に入りの画題でした。本展には3点出品されます。
 さらに若き日のモネとルノワールがキャンヴァスを並べて描いた≪アルジャントゥイユの鉄橋≫や、きらめくヴェネツィアの風景をモネとシニャックの秀作で比較してみるのも興味深いでしょう。


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