2025.06.19 UP
【展覧会情報】
五島美術館『平安書道研究会900回記念特別展 極上の仮名―王朝貴族の教養と美意識―』
世田谷区上野毛の地にある五島美術館。6月24日(火)より開催される本展覧会のチケットをMY Bunkamuraで販売します。
書家であり日本書跡の研究者であった飯島春敬(1906~96)が、蒐集品をおさめた書芸文化院「春敬記念書道文庫」の平安時代に書かれた仮名の名品に五島美術館や国内に現存する稀少な遺品を加えた約100件を展観します。平安時代の11世紀から12世紀に尊重された仮名の書風や料紙装飾に着目し、王朝貴族の美意識を紹介します。また春敬は日本書跡の淵源である中国書法にも目を向けました。本展にあわせて春敬旧蔵の日本書跡と中国文物コレクションから、明末清初の書跡の優品や近代の書家上田桑鳩(1899~1968)旧蔵の拓本類約20件を厳選して公開します(会期中、一部展示替えあり)。
\おすすめ作品①/
平安時代の勅撰和歌集『古今和歌集』「秋上」の断簡です。本来は『古今和歌集』二十巻を書写した上下二冊の綴葉装の冊子本と考えられています。変化に富んだ類例のない字形と連綿の巧みさから、「高野切」とともに平安古筆の白眉として並び称されている名品です。名称は、加賀・前田家伝来の零本二冊(全体のうち四十八丁分)の一部が、明治15年(1882)に名古屋の関戸家の所蔵であったことにちなみます。もとは、白のほか萌黄・紫・茶・黄などの濃淡の「染紙」を交用し繧繝の効果が工夫された冊子本でした。本品の特徴的な萌黄色の料紙は、黄色の地紙として漉き上げた湿紙の上に、藍で染色した紙素を漉きかけて、緑色を表わしています。
関戸本古今集切 伝 藤原行成筆 平安時代・11世紀 書芸文化院蔵
\おすすめ作品②/
京都西本願寺に伝来した「本願寺本三十六人家集」のうち『伊勢集』(平安時代の歌人伊勢〈?~939頃〉の私家集)の断簡です。本来は粘葉装の冊子本でした。本品はそのうちの一枚を掛軸にしたものです。華麗に装飾された料紙は色とりどりの染紙を破り継いで一枚の紙に仕立てた継紙。そして紙面全体には銀泥で蝶・鳥・折枝等の下絵を施しています。料紙の意匠に呼応するかのような散らし書きは機知に富んでいます。名称は昭和4年(1929)に分割された際、本願寺が大坂石山(現在の大阪城付近)にあったことにちなみ、近代の実業家・茶人益田鈍翁(本名・孝 1848~1938)が命名しました。『三十六人撰』(藤原公任〈966~1041〉撰)のまとまった最古の写本としても貴重です。
石山切(伊勢集) 平安時代・天永3年(1112)頃 書芸文化院蔵
\おすすめ作品③/
長寿を象徴する鶴を主題とした和歌一首。「大空に群れた鶴もひとつの方向を指しながら飛んでゆく。さながら祝う心があるようだ」と鶴を擬人化して祝意をあらわしています。延喜13年(913)、藤原満子(874~937)の四十賀を藤原清貫(867~930)が催した際の屏風歌(屏風絵の主題にあわせて詠んだ和歌)のひとつです。『拾遺和歌集』巻第五「賀歌」に収録されています。平安古筆のなかでは比較的大きく明快な筆致で、一文字の単体と連綿(文字を続けて書くこと)を交えています。料紙は藍の繊維を雲にみたてて漉き込んだ雲紙の上に雲母砂子を撒いています。肥前平戸藩主松浦家に伝来。昭和9年(1934)、5首分が5枚に分割された際、松浦家江戸屋敷内の「蓬萊園」にちなみ命名されました。また、本展ではもとは本品と連続していた一首(個人蔵)も同時公開します。
重要文化財 蓬萊切 伝 藤原行成筆 平安時代・11世紀 五島美術館蔵
開催期間:2025年6月24日(火)~8月3日(日) 10:00~17:00 (受付は16:30まで)
休館日:毎月曜日(7月21日は開館)、7月22日(火)
主催:公益財団法人 五島美術館・一般社団法人書芸文化院・日本経済新聞社
会場:五島美術館
東急・大井町線(各駅停車)「上野毛(かみのげ)駅」下車徒歩5分
〒158-8510 東京都世田谷区上野毛3-9-25
https://www.gotoh-museum.or.jp/#access
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
取り扱いチケット:
■当日券
【販売期間】2025年6月24日(火)~8月3日(日)
【券種】当日一般 1,400円
当日大学・高校生 1,100円
※中学生以下無料
※学生券をご利用の際は、チケットと共に「学生証」を忘れずにご呈示ください。
※販売状況により、販売期間より前に取扱い終了となる場合がございます。