おうちでも!Bunkamuraドゥマゴパリ祭2020

“日本とフランスの架け橋” として活躍する国際ジャーナリスト、ドラ・トーザンが見たフランスの「Le 14 juillet」

2020.08.11 UP

フランスで例年華々しく開催される「Le 14 juillet(7月14日)」。日本とフランスの架け橋として活躍するドラ・トーザンさんから、フランスでのパリ祭についてコラムを寄せていただきました。

☆Le 14 juillet, fête nationale de la France(7月14日、フランス革命記念日)

フランス人にとって7月14日は特別な日です。フランス革命の発端となったバスティーユ襲撃の日、1789年7月14日は、1880年に祝日として定められました。
フランス国民にとっては祝日ですが、日本ではパリ祭と呼ばれています。素晴らしい打ち上げ花火、軍事パレード、小さい村からパリまでフランスの至るところでダンスのイベント……。

でも今年はとても寂しい7月14日でした。

コロナウィルスで、多くのイベントがキャンセルとなりました。直前まで大丈夫と思っていたのに、突然のキャンセル。3月からずっと我慢しているフランス人――私も含めて――にとって、とても残念なことでした。けれど、ここでは通常のパリ祭についてお話ししたいと思います。

 

☆Feux d’artifice du 14 juillet(7月14日の花火)

日本と違い、フランスでは花火大会がとても少ないので、7月14日の花火はとても大事な時間です。一番素晴らしいのは、エッフェル塔の花火です。 花火だけではなく、大きなコンサートもあります。エッフェル塔の前のシャン・ド・マルス公園(Champ de Mars)にパリ市民たち、そして世界中の観光客が集まります。7月14日午後9時30分から始まるクラシック音楽の大コンサートの直後に、エッフェル塔から午後11時に花火が打ち上げられます。実に美しい35分間のショーはテレビで生放送されます。

この花火の打ち上げは技術的な偉業でもあります。 この日の花火打ち上げのために、数十人の技術者、花火、照明、音響のスペシャリストが、素晴らしい努力をしています。

毎年違うテーマがありますが、去年のパリ祭は私にとって特別素晴らしいものでした。エッフェル塔近くにある友達の家のバルコニーから眺めることができたのです。

遠くから見てもいいけれど、やっぱり目の前で花火を楽しむと、とても強い印象を受けます。30人くらいのパーティーを楽しみながら、音楽を聴いてエッフェル塔の美しさをエンジョイして、35分間続く花火を見ました。本当にパリ祭の花火のクオリティは高いのです。今年も花火の打ち上げはありましたが、多人数が集まる事は禁止されました。遠くから見るか、テレビで見る。残念ではありましたが、精神的にこの大変な時に花火を見ることができるのは私たちの心のためにとても大きな意味がありました。

前年の2018年7月15日は、パリは特別な日でした。1998年にサッカーワールドカップでフランスが優勝した20年後、2回目の世界チャンピオンになったからです。シャンゼリゼにサポーターと観光客が集まりました。とても熱気にあふれた雰囲気でした。

 

☆Défilé militaire , des Champs-Elysées à la place de la Concorde
(シャンゼリゼ通りからコンコルド広場への軍事パレード)

毎年7月14日は、シャンゼリゼ通りで軍事パレードが行われます。朝10時からテレビで生中継も放送されます。アメリカやロシアと同様、自国の軍事力を見せるためです。 フランス大統領は必ず特別なオープンカーに乗り、シャンゼリゼ通りからコンコルド広場へ向かいます。コンコルド広場にフランスの大統領と政府のメンバー達、外国からのゲストが集います。 2017年のパレードのスペシャルゲストは、アメリカのトランプ大統領でした。7月14日のパレードのために、フランス各地から陸海空いろいろな軍隊が集まります。パレード前日には、パリのあちこちで戦車を見ることができ、時には戦車の上に乗ることもできます。今年はもちろんコロナウィルスのため、このパレードは小規模なものとなりました。コンコルド広場だけにとどまり、一般公開はされませんでした。今年のテーマは「医療従事者への感謝」。上空では空軍によるいろいろな飛行機のパレードが行われました。フランス国旗のトリコロールカラー、青白赤の飛行機雲を空に見ることができました。フランス国歌、ラ・マルセイエーズをこの日に聴くことには、特別な意味があります。

☆Le bal du 14 juillet(広場でのダンスパーティー)

パリ祭のもう一つ特別なイベント、それはダンスパーティーです。フランスのあちこちの広場でダンスパーティーが開催されます。年齢は関係なく、無料で、フランス人は踊りながらこの夜を楽しみます。DJがいて生バンドが演奏し、特別な雰囲気になります。パリでは消防士のダンスパーティーがあります。パリの消防士は女性に人気があります。この日だけ消防署が一般公開されます。このダンスパーティーの企画は消防士が自分達で行います。パリの6区の消防署 caserne du vieux colombier には何回も行きました。昔、この時に消防士と友達になりました。とても面白い体験でした!

パリ祭の夜は、雨が降ったことが何度かありました。でも私たちはびしょびしょになっても、いろいろな広場で踊りながら楽しんでいました。例えばコントレスカルプ広場(Place de la Contrescarpe)、サンシュルピュス広場(Saint-Sulpice)、バスティーユ広場(Bastille)で……。

 

☆Le 14 juillet à Tokyo, à l’Ambassade de France(東京でのパリ祭の思い出)

私は日本に長く住んでいるので、パリ祭を東京のフランスの大使館でお祝いする事も多いです。大使館の素晴らしい庭の中に、音楽と美味しい食べ物が用意されます(スペースの問題があり、踊る事はできないのですが)。

2015年のパリ祭は私にとって特別な日でした。この日、フランス政府から有名な勲章レジオン・ドヌールを受章したのです。とても素晴らしいサプライズでした。
日本とフランスの架け橋となっている私にとって、今までの仕事と活動が認められ、たいへん光栄に思いました。

 

Dora Tauzin ドラ・トーザン

エッセイスト・国際ジャーナリスト。フランス・パリ生まれの生粋のパリジェンヌ。ソルボンヌ大学、パリ政治学院卒業。国連本部広報部に勤務ののち、NHKテレビ『フランス語会話』に出演。日本とフランスの架け橋として、新聞・雑誌への執筆、テレビ・ラジオのコメンテーター、講演会など多方面で活躍。
著書に『好きなことだけで生きる』『フランス人は年をとるほど美しい』(以上、大和書房)『パリジェンヌはいくつになっても人生を楽しむ』(Gakken)、2015年レジオン・ドヌール勲章を受章。

公式ホームページ http://www.doratauzin.net/
Facebook   https://www.facebook.com/dora.tauzin.official/