吉田鋼太郎がこれまで俳優として作品に出演してきた盟友・長塚圭史の戯曲を演出し、主演を石原さとみが務める、初の座組みが実現!
舞台俳優として多種多様な戯曲を読み込み、体現し、さらにシェイクスピア作品の演出も多く手掛けてきた吉田鋼太郎ならではの視点で、2006年初演の長塚圭史による戯曲を新たに立体化。
主演は、ドラマや映画での活躍にとどまらず、舞台への並々ならぬ意欲を持つ石原さとみ。昨年2月に4年ぶりとなる舞台「密やかな結晶」に主演し、さらに演劇表現のとりこになった石原が、これまでにない新たな物語・役柄に挑戦。演出だけでなく出演もする吉田とは初共演になります。
また、長塚作品の常連で多彩な表現力が映像でも評価の高い山内圭哉、個性的な存在感で活躍目覚しい矢本悠馬、小劇場に多数出演している水口早香という共演者による5人で濃密な舞台空間を生み出します。
大災害の起きた東京という設定や、いわれのない人種差別や偏見から生まれる争いなど、未来を予見したように書かれた2006年の戯曲。オリンピックを目前とした今、改めて長塚圭史という作家の視点の鋭さに気付かされます。2019年版となる今回の上演ご期待ください。
吉田鋼太郎さんとご一緒させていただくことが決まり、作品選びをする中で、長塚圭史さんの戯曲『アジアの女』に巡り合いました。この舞台に出たい、このセリフを言いたい、このお芝居を勉強したい、この空気を味わいたい、という完全に欲の塊の作品です。
吉田さんに早くダメ出しされたい、山内さんと早く再会してじっくり作品の話をしたい、矢本悠馬さん水口早香さんとすぐにでもお会いして人柄を知りたい。この4人のお芝居を生で体感しただけで絶対に成長できると確信しているので、稽古はまだ先ですが早く挑戦したいというワクワクした前のめりの気持ちでいっぱいです。
●吉田鋼太郎さんについて
先日吉田さんとお会いした際、なんて言葉が的確でわかりやすく、あたたかく柔らかい方なんだと感激しました。
あぁこの方に指導していただけるんだぁ、吉田さんと一緒に舞台が経験できるんだぁ、と想像し、ただただ感動しました。
●お客様へのメッセージ
変わった危うい役柄なので毎日悩み苦しむ2ヶ月になる気がします。だからこそ、舞台がやっぱり好きだ、この学び多い時間が楽しくて仕方ない、と思える自分になることは間違いありません。
お客様に沢山の想像と深読みを楽しんでもらえるような空気や時間になりますように。
がんばります!
まずは、圭史に怒られないよう頑張らなくっちゃ。
●石原さとみさんについて
世間一般的に正統派のイメージがあるとすれば、本当の彼女は決してそうではないような気がしています。極端に言えば、観客に憎まれるような、「石原さとみにこんな一面があったのか」と思わせるそんな彼女を観てみたいです。
『アジアの女』は絶望の果ての、ですね。どうしたら無力な自分に期待できるのか。愚かな社会に期待できるのか。つまり人間どもに、それはやっぱり自分なのかもしれませんが、全ての愚か者たちに期待したくて紡いだ戯曲です。
当時新国立劇場の芸術監督を務められていた栗山民也氏に、まだまとまり切らぬ新作の構想を四苦八苦しながら話したところ、ミヒャエル・エンデを薦めて頂きました。改めて読み直すと、そうした私の絶望が、希望の種に変わっていったのです。その片鱗さえ見られないのかもしれませんが、私の中ではものすごくミヒャエル・エンデな、もっと言いますと「モモ」や「サーカス物語」のようなところに著しく共感して書き上げた戯曲です。
劇中の大地震は関東大震災をモチーフにしました。東日本の大震災が起きる前に書いた戯曲が、2019年にどう響くのか、とても楽しみです。