2017.07.25 UP
開幕直前!リハーサルレポート&動画を公開中!
公演まで数週間に迫るある日、Kバレエ ユースの通し稽古が行われた。これまで2回の公演でその実力を証明してきたKバレエ ユースだが、今回は出演者140名という過去最大の人数で、古典バレエの金字塔「眠れる森の美女」に挑む。プロのカンパニーでもレパートリーに入れるのは容易ではない大作への挑戦に、少し緊張しながらスタジオを訪れた。
【圧倒的な主役の実力】
この日の稽古で主演のオーロラ姫を務めていたのは佐伯美帆。オーロラという役に観客が期待するものは技術・表現ともに、とてつもなく大きい。基本の正確さが試される安定したクラシックの技術、16歳の誕生日から結婚式にいたるまでの成長の表現、加えて、登場の瞬間から誰の目にも明らかな“選ばれし姫”という存在感を示さなければいけない。佐伯のオーロラ姫に、まず驚いたのは、その技術の安定感。ともすると10代のダンサーは派手な技術の見せ方に走りがちであるのに、彼女は1つ1つのポジションが美しく、アカデミック。また、抜群の安定感が地に足着いたプリンセスの表現と見事に繋がる。実年齢に近い第1幕の方が第3幕より合っているかと思いきや、持ち前のおっとりとした優美な個性が第3幕の上質さにマッチし、まるで何度もこの役を踊っているかのような錯覚さえした。
【最強の講師陣による妥協のない指導!】
本公演にはカンパニーで活躍するダンサーも多数出演する。フロリムント王子を演じるのは「ジゼル」のヒラリオンや「海賊」のランケデムなど抜擢が続く堀内將平。彼の踊りは若い世代には貴重ともいえる古典バレエに必要なレトロな美質を兼ね備えているのが最大の魅力。王子役ではそれが最大限に生きることは言うまでもない。
そして注目は、カラボスで出演する宮尾俊太郎。その麗しい容姿と恵まれたスタイルで王子役を当たり役としているがゆえ、カラボスという悪役はあまり想像できなかった。しかしリハーサルを見て一番予想外の収穫だったのは、この宮尾が演じるカラボスだったのも事実。長いアームスから編み出される動き一つ一つはダイナミックであり、その目力は悪と死の象徴である絶対的な存在感を、持ち前の中性的な美は妖艶さを醸し出す。長年主役として舞台を率いてきた経験がこのオーラを生み出すのだろう。一方、このカラボスに立ち向かうリラの精を演じる大井田百にも驚いた。大井田はKバレエ ユースの卒業生。第1回公演「白鳥の湖」で、黒鳥オディールを踊ったが、その頃から強靭なテクニックが印象的だった。カンパニーでも「カルメン」のメルセデス、「ドン・キホーテ」の花売り娘など技術が映える強い役での活躍が多く、当初はリラの精への抜擢と聞いてあまり想像がつかなかったのも確か。しかし、この日みたリラの精で、そんな先入観は見事に覆った。役に必要とする包容力や母性が実に見事に表現されていたのだ。特に1幕最後、皆を眠りにつかせるシーンでは、「彼女が守ってくれるのならきっとオーロラは無事に目覚められるはず」と思わせるまでの説得力がある。
“若手の挑戦”などというレベルを超えた公演になることを確信したこの日の稽古。舞台には特別な力が宿るといわれる。パワーあふれる彼らはこの力を味方につけ、感動を与えてくれるに違いない。今しか見ることのできない輝きをぜひ劇場で感じてほしい。
早川 智子(ライター)
Photo: Ayumu Gombi
≪8/5(土)キャスト 佐伯美帆と堀内將平≫
≪8/6(日)キャスト 八木りさと山本雅也≫
