

メンバーは厳正なオーディションにより選ばれる。審査には総監督である熊川哲也、芸術監督の小林由明をはじめとする豪華教師陣があたる。
オーディションにより選定されたメンバーと教師陣が初めて一堂に会する団結式。この日からリハーサルがスタートする。
約1年におよぶリハーサルは、Kバレエ カンパニーが日頃公演に向けて行っているそれと同様のスタイルで行われる。ユースメンバーは技術や演技はもちろん、舞台に立つ心構えや厳しさもここで学んでいくことになる。キャストはリハーサル開始時にはすでに発表されているが、もちろんその後の成果により変更となることも。
リハーサルが軌道に乗る時期にメンバーのための特別講座を開催。指導陣や、演奏を務めるシアター オーケストラ トーキョーの指揮者・井田勝大らが講師となり、物語や音楽、舞台美術や衣裳についてなど、作品をより深く知るためのさまざまな講義が行われる。
今回はユースでの活動では初となる公開リハーサルも実施(3月、彩の国さいたま芸術劇場小ホール)。一般のお客様を前にこれまでの稽古の成果を披露する貴重な機会だ。ここから本番に向けてさらにそれぞれが技術・表現に磨きをかけていくことになる。
『白鳥の湖』や今回の『眠れる森の美女』のように、Kバレエ カンパニーのレパートリーを上演する際は、舞台美術も衣裳もすべてカンパニー公演で使用されているものとなる。
バレエの道を志す若手ダンサーに生徒からプロへの架け橋となる場を与えたいという思いから、2013年に創設したのがKバレエ ユースです。22歳以下を対象とした厳正なるオーディションにより選抜されたメンバーは、指導はもとより衣裳・美術に至るまでカンパニーと全く同じ環境を与えられます。当然求められるレベルも非常に高く、子供にとっては時に過酷といえるまでの要求になることもあります。しかし、その環境で彼らが見せたこれまでの成長は想像をはるかに超えるものであり、またその無垢な力が生み出す感動は、多くの観客の胸を打つものとなりました。私自身、次世代の才能が持つ無限のパワーを再認識するという恩恵を受けたといっても過言ではありません。才能あふれる彼らの“今だからこその輝き”が生む感動は、皆様の未来への活力ともなることでしょう。
【過去の公演はこちら】
第1回公演「白鳥の湖」
2013年8月3日(土)・4日(日)
バレリーナに不可欠な心・技・体を余すところなく要求されるオーロラ姫。初々しい登場から王子と結ばれる厳かな結婚式までの成長を描く表現力も期待される難役である。本公演では、物語の設定と同じ16歳の八木りさと、役に求められる天性の愛らしさを持つ佐伯美帆が挑戦。等身大のオーロラ姫に出会える貴重な機会だ。
端正な容姿、優雅な身のこなし、洗練された技術……まさに理想の王子像を体現しなくてはならないのが、このフロリムント役。今回この役に挑むのはカンパニー本公演でも抜擢が続いている堀内將平と山本雅也。恵まれた身体と基本に忠実な踊りで高い評価を得ている2人の王子役デビューに、注目が集まる。
オーロラ姫と王子を引き合わせるキーパーソンであるリラの精には、包容力はもちろん、物語を導く凛とした存在感が求められる。役柄の表現には安定した技術が不可欠であり、力量が試される役でもある。今回は、かつてKバレエ ユースで活躍し、カンパニーで期待の新鋭として躍進する大井田百と吉岡眞友子が挑む。
オーロラ姫に死をもたらそうとする悪役にして妖艶な美をまとうカラボスはこれまで幾多の名優たちが演じてきた。普段王子役を当たり役としているプリンシパル 宮尾俊太郎の新境地を堪能できること必至!『白鳥の湖』のロットバルトや『くるみ割り人形』のドロッセルマイヤーなどで強い存在感を示してきた杉野慧とのダブルキャストはどちらも見逃せない。
最終幕のオーロラ姫と王子の結婚式には、「青い鳥」や「赤ずきん」など童話世界の主人公がお祝いにやって来る。なかでも、鳥のさえずりに応えるように軽やかに舞うフロリナ王女と、重力を感じさせない跳躍で鳥の羽ばたきを表現するブルーバードは、若手の登竜門とも言える役。ぜひご注目を。
Photographs:Ayumu Gombi