若手作・演出家、長塚圭史からの挑戦に、市川海老蔵はどう応じる?
シアターコクーンに市川海老蔵が出演する。それだけでもニュースなのに、その作品を作・演出するのが長塚圭史。たいていの異色コラボレート には驚かなくなった演劇ファンも、この組み合わせには意表を突かれたはず。歌舞伎界の名門・成田屋のプリンスと、抜群のストーリーセンスに小劇場感覚のドライブ感を併せ持った若手作・演出家。海老蔵は、この出会いをどうとらえているのだろう?
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(c)操上和美
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海老蔵 「僕は人の芝居を観る時間がなかなか取れないので、誰かの力を借りないと新しい人には出会えないんです。圭史君とも、間に入ってくれる人がいて 知り合いました。ただ、いくら“紹介したい”と言ってくれる人がいても縁がなければ話は進まない。その点、圭史君とはスムーズに出会えたし、ふたりだけでお酒を飲む機会も持てました。今回の作品はそういう時間から生まれたんですよ」
ふたりから自然発生的に出たキーワードはドラキュラ。和物のイメージが強い海老蔵に、長塚はドラキュラをモチーフにしたゴシック・ホラー『ドラクル』を書いた。
長塚 「せっかく自分とやるならいつもと違う役をやってほしいし、僕も“荒事の得意な海老蔵君だから豪快な役”にはしたくなかった。だからこの作品の海老蔵君は暴れませんよ」
長塚ならではの挑戦に、海老蔵は余裕とも感じる笑顔で応える。
海老蔵 「(ヒロイン役の)宮沢りえさんと撮ったポスター、彼女を守っているのか襲っているのか、どちらとも取れるでしょう? その答えはまだ出したくない。脚本は読んでいますが、稽古をしながら見つけていけばいいと思っているんですよ」
text:徳永京子(演劇ライター)