『トゥヤーの結婚』主演ユー・ナン インタビュー

Q. 役作りについて教えてください。

A. 役作りの上で、遊牧民としての暮らしを取り入れること、モンゴル人になりきることに一番苦労しました。モンゴル族と話をする機会は今まであまりなく、また彼らは北京語が上手ではないことから、コミュニケーションをとることが大変でした。
撮影現場はある時はマイナス30度を越すほどの寒さでした。私は寒いのが苦手で、現地での寒さは本当に大変でした。また、遊牧の暮らしをしているとお風呂も頻繁に入る習慣ではないので、2週間に一回くらいでした。映画の中でもわかりますが、水が本当に無い土地ですから、それも大変なことでした。

Q. 女優としてそのような環境の中で自分を整えていくことは特に大変かと思いますが・・・お肌のことなど気になりませんでしたか?

A. 実は逆で、今回このトゥヤーを演じるうえでの監督の要求は、肌をわざと荒れさせるようにということでした。その土地に暮らすモンゴル人に見えるように。お肌を気にしている場合ではなかったです。撮影前に3ヶ月間、内モンゴルの現地で実際に遊牧の生活をしているうちに、私の肌もだんだんと荒れていきました。朝は、本当に映画の中みたいに放牧に行くんです。帰りはラクダに乗って帰って来ました。自分が北京にいれば話は別ですが、あそこに暮らしていたらおしゃれのことなど気にする人たちがいないし、自分も気にしなくなりました。

Q. チャン・イーモウ監督の『紅いコーリャン』がベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したことからコン・リーも国際的に有名になり、彼女の経歴に似ているとよく言われていますが、そのことに関してどう思いますか?

A. 多分、コン・リーも『紅いコーリャン』がベルリンで金熊賞を受賞するとは思っていなかったろうし、私も『トゥヤーの結婚』が受賞するとは思っていませんでした。似ていると言われているのは知っていますが、コン・リーはコン・リーの道があり、私には私の道があるのだと思います。

Q. ベルリン映画祭での受賞時はどんなお気持ちでしたか?

A. 本当にサプライズでした。上映前はそんな雰囲気は感じられなかったのですが、『トゥヤーの結婚』が上映されて、審査員の星取り、それから観客の星取りが、それぞれ一位だったから、もしかして?というちょっとの期待はあったけれど、まさか受賞できるとは思っていなかったです。

Q. この作品には監督の様々な思い“内モンゴルに生まれた母のこと”“消えゆく遊牧民のこと”そういった映画のテーマ的なことが込められていますが、ユー・ナンさん自身はどのように捉えましたか?

A. 私の理解として、この映画は愛の物語です。愛と結婚がテーマです。それから内モンゴル地区が今目の当たりにしている現状を良く理解しました。この地域にいる遊牧民たちが焦っている、遊牧という生活形態が目の前で消えようとしている。そういう社会的な現状というのを出していきたい映画でもあります。


ページの先頭に戻る
Copyright (C) TOKYU BUNKAMURA, Inc. All Rights Reserved.