だまし絵展 名古屋会場 講演会レポート

ただいま名古屋市美術館で好評開催中のだまし絵展。連日多くのご家族連れやカップルなどでにぎわっています。特にゴールデンウィークは1時間マチになるほどの大行列だったようです。そんなGWあけの日曜日、本展カタログにもご執筆いただいている谷川渥先生の講演会が200人の定員満席の大盛況のなか行われました。

講師の谷川渥先生は『図説だまし絵−もう一つの美術史』のなかで、これまであいまいだった「だまし絵」の概念の中核に焦点をあて、新たな「だまし絵論」を繰り広げているいわば「だまし絵」の第一人者。展覧会図録にも執筆いただいています。講演会は、「今までみなさんがだまし絵だと思っているものは実はだまし絵ではありません」という意表をつく一言で始まりました。「だまし絵」とは本物そっくりをめぐる様々な仕掛けであり、その迫真性だけでなく、演出の見事さゆえに、見る者はおもわずだまされてしまいますが、けっきょくのところ、そこにはだまし絵はだましきらない、というパラドックスが潜んでいます。講演会では16,17世紀から現代にいたるまでの「だまし絵(含だまし絵もどき)」の様々な視覚のしかけをその背後の思想に至るまで明快にお話いただき、だまし絵とはまさに目と頭で同時に楽しむ遊戯なのだなと実感しました。
講演会を楽しんでいる間に、展覧会の方は総入館者数が10万人を突破していました。会場ではお客さまひとりひとりが思い思いの感想を口々に言い合い、自由に楽しんでいる姿が印象的でした。東京展のスタートまであとわずか。ぜひ「自分の目で確かめに!」いらしてください。


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