ラルフ・ルーカス(バス・バリトン)プロフィール

ラルフ・ルーカス(バス・バリトン)
Ralf Lukas, bass-baritone

 バイロイト生まれ。ベルリン芸術大学で声楽を学ぶと同時に、ミュンヘンのバイエルン州立歌劇場で研鑽を積み、オランダのシェルトヘンボス国際声楽コンクールで優勝。2002年までベルリン・ドイツ・オペラの専属歌手として、パパゲーノ(魔笛)、レポレッロ(ドン・ジョヴァンニ)、メリトーネ(運命の力)、ドンナー(ラインの黄金)、伝令(ローエングリン)、ビーテロルフ(タンホイザー)、ベックメッサー(ニュルンベルクのマイスタージンガー)などを歌う。これまでに、クラウディオ・アバド、ゲルト・アルブレヒト、リッカルド・シャイー、サー・コリン・デイヴィス、ハインリヒ・ホルライザー、フィリップ・ジョルダン、ロリン・マゼール、ズビン・メータ、サー・ロジャー・ノリントン、小澤征爾、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、ジュゼッペ・シノーポリ、マルチェッロ・ヴィオッティなど、世界に名立たる指揮者たちと共演を重ねている。
 ヴォータン役のデビューは、1999年2月ミュンスター市立歌劇場で上演された『ラインの黄金』で、その歌唱は非常に大きな賞賛を集めた。続いて同役(ワルキューレ)、さすらい人(ジークフリート)、グンター(神々の黄昏)などを歌い、いずれも高い評価を得ている。また、同年クラウディオ・アバド指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のもと、メロート(トリスタンとイゾルデ)でザルツブルク復活祭音楽祭デビュー、同役はザルツブルク音楽祭でもロリン・マゼールと共演した。そのほか、トゥールーズ・キャピトル劇場でヴォルフラム(タンホイザー)やベックメッサー(ニュルンベルクのマイスタージンガー)を、カッセル州立歌劇場でアンフォルタス(パルジファル)などを歌っており、カタリーナ・ワーグナーの演出による『さまよえるオランダ人』での演奏は特に高く評価された。さらに、ヴィースバーデン歌劇場ではヴォータン(ラインの黄金、ワルキューレ)やさすらい人(ジークフリート)を、2006年のバイロイト音楽祭ではドンナー(ラインの黄金)、クリストフ・マルターラーの演出による『トリスタンとイゾルデ』のメロートを演奏、2007年からはそれらに加えてグンター(神々の黄昏)を歌い、同音楽祭には毎年招かれている。
 オペラのみならずコンサートでも活躍し、ベルリン、ブリュッセル、ハンブルク、マドリード、ミュンヘン、パリ、ローマ、サンパウロ、ウィーンなど世界各地で演奏、モンテペリエ、ロンドンのプロムス、ルツェルン、ラインガウ、シュレスヴィヒ=ホルシュタインなどの音楽祭にもたびたび登場している。また、テレビやラジオ(ZDF/第2ドイツテレビ、SFB/自由ベルリン放送、MDR/中部ドイツ放送、バイエルン放送、ラジオ・フランス、RAI/イタリア国営放送、RTE/アイルランド国営放送)に演奏を収めているほか、多くのCDもリリース、「フォルトナー:歌曲集」(オルフェオ)、「ブラームス:美しきマゲローネのロマンス」(コンチェルト・バイロイト)、「ノリントン指揮/ベルリオーズ:キリストの幼時、ベンヴェヌート・チェッリーニ」「ギーレン指揮/シェーンベルク:グレの歌」(ヘンスラー)などがある。「マリオ・ヴェンザーゴ指揮/シェック:カンタータOp.49」は仏・ディアパゾン賞を受賞、「コフマン指揮/リスト:オラトリオ『キリスト』」は2007年エコー賞を受賞している。
 最近では、ビーテロルフ(タンホイザー)を小澤征爾指揮のもとバスティーユのパリ・オペラ座で、カスパール(魔弾の射手)をイルジー・コウトのもとスイスのザンクト・ガレン歌劇場で歌っており、2008年秋には、ハンス・ザックス(ニュルンベルクのマイスタージンガー)役のデビューをダルムシュタット歌劇場で果たしたほか、メロートをバスティーユで演奏。今年は『シェーンベルク:グレの歌』をロンドン・フィルと共演したほか、例年通りバイロイト音楽祭に出演している。今後、ビーテロルフ(タンホイザー)でローマに、バラク(影のない女)で東京に登場する予定である。(2009年8月)

ページの先頭に戻る
Copyright (C) TOKYU BUNKAMURA, Inc. All Rights Reserved.