来日公演記念対談 リン・フアイミン氏(振付家)×假屋崎省吾氏(華道家)

創設者・芸術監督である振付家のリン・フアイミン氏が昨年12月中旬に来日、多数の取材をこなしました。
人気華道家・假屋崎省吾氏と行った対談の模様をお楽しみください。

リン 「假屋崎さんは精力的に作品を発表されている華道家と伺いました。実は私の母は戦前日本に留学していて、草月流を学んだ経験があるんです。」
假屋崎 「私も出身がいけばななんです!」
リン

「そうだったんですか!母は草花を育てるのが大好きで、あるとき、白い蘭を木に添わせて育てたんですね。我が家の周り、2,300メートルくらいが白い花でいっぱいになって、近所で評判になったことがあるんですよ。」

假屋崎 「私も子供の頃から草花を育てるのが大好きで、それで今の道に進んだんですが、リンさんがダンスを目指されるようになったきっかけは何だったのでしょうか。」
リン 「5歳のとき、「赤い靴」というバレエ映画を見て、すっかり魅せられてしまって。でも、その当時はダンスへの興味を育てる機会がなくて。アメリカに留学し、大学院の作家のためのコースで学んでいたんですが、そのときにモダン・ダンスを始めたんです。」
假屋崎 「作品のインスピレーションはどんなところから湧いてくるのでしょうか。」
リン 「日本でならば、竜安寺の石庭にインスピレーションを受けることもあれば、新宿の雑踏に興味をもつこともあります。私は自分を“ゴミ箱”のようなものだと思っているんです(笑)。あらゆることに興味があり、すべてを吸収していった中から、いつしか美しい花が生まれる。さまざまなものから得た印象が、私の中から叫びとして発せられた瞬間、作品となるのだと思います。」
假屋崎 「3月に上演される『WHITE ホワイト』についてお伺いできますか。」
リン 「『WHITE ホワイト』は“無”について語る作品であり、また、白と対峙する“黒”についての作品でもあります。私は“白”とはさまざまに微妙なニュアンスをもつものだと考えています。そのニュアンスを肉体で表し、観客の息遣いまでもコントロールするようなエネルギーを客席に送ること、それが作品の目指すところです。」
假屋崎 「日本では“余白の美”が大切とされますが、その考え方とも共通するところがありそうですね。生演奏の中でいけるということをよくするのですが、リンさんともいつかコラボレーションしてみたいです!」
リン 「私の最新作は『Whisper of Flowers(花々のささやき)』という題名なんです。假屋崎さんの作品からインスピレーションを受けることもきっと多いと思いますよ。」
假屋崎 「『WHITE ホワイト』を拝見するのを楽しみにしています!」

草花を愛するアーティスト同士、話も弾み、楽しいトークとなりました。
假屋崎氏も期待するところ大の『WHITE ホワイト』の公演をお見逃しなく。
Texts:藤本真由(舞台評論家)

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