迫力の舞台!「スウィング!」観劇レポート

 2002年の初来日公演で、ホットなステージが観客の心をノックアウトした「スウィング!」。待望の再来日となった作品の初日の舞台を観た。

 
1930−40年代に世界を席巻したスウィング・ジャズの名曲の数々にのって、エネルギッシュなダンスが披露されてゆくこの作品。暗闇の中、アカペラで「スウィングしなけりゃ意味ないね」のコーラスが聴こえてくると、客席は一気にヒートアップ。心も身体も、リズムにのってスウィングせずにはいられない。そんな心を代わりに体現するのかのようなスポーティなダンスが、所狭しと展開されて。なかでも妙技で魅せるのが、アデアラーニ・マリアとマーク・スチュワート・エクスタインのペア。アクロバティックなリフトに高速スピン、エネルギーはじける超絶技巧を事もなげにビシバシ決めてゆくアデアラーニは、ときおり見せるキュートな笑顔がたまらない。そんなアデアラーニをどこまでも自由に踊らせ続けるマークのパートナーリングの妙も見事だ。

 
ダンサー陣と絶妙な掛け合いのもと舞台を進めてゆくシンガー陣も、ダイナマイトな歌唱を聴かせてくれる。コミカルなMC的存在のチャーリー・マーカスは、合間合間に織り交ぜる笑いでも大いに魅了し芸達者ぶりを発揮。バンドも無論、強力布陣。第二幕の「キャラヴァン」では、それぞれの楽器のソロで堪能させる。

 
「イン・ザ・ムード」「クライ・ミー・ア・リヴァー」「ブルース・イン・ザ・ナイト」・・・。目で、耳で、名ナンバーを楽しむうち、あっという間
にフィナーレ。「シング・シング・シング」から再び「スウィングしなけりゃ意味ないね」へとなだれ込む瞬間、舞台も客席も一体となって盛り上がらずにはいられない。パワフルな二時間を繰り広げたキャストたちを、初日の客席はスタンディング・オベーションで讃え続けた。暑さを吹き飛ばすにはもってこいの熱いステージ、この夏、見逃す手はない!

Texts:藤本真由(舞台評論家) 2008年8月12日(火)観劇

 

 

(C)薈田純一

 

 

ページの先頭に戻る
Copyright (C) TOKYU BUNKAMURA, Inc. All Rights Reserved.