アンカー小道具編 Part 1 描かれているあの花は何?

アンカーの作品には、編み物かごや筆記板など、同じモチーフがしばしば使用されています。それはアンカーが身の回りにあるものを、気に入って何度も取り上げるからに他なりません。例えば≪シャボン玉を吹く少年≫と≪静物(コーヒー、牛乳、ジャガイモ)≫には、良く似た柄のカップが使用されているのがおわかりになるでしょう。

ミュージアムスタッフでも、ひとつ気になることがありました。絵の中で繰り返し出てくる紫色のあの花…いったい何の花なのでしょう?

それは≪木のベンチで眠る少女≫ではかごの中に、≪宿題をする子供≫では少女が座っているベンチの上に、≪書き取りをする少女≫では机の上に描かれています。小さな花をたくさんつけた紫色の可憐な花…。ベルン美術館学芸員テレーゼ・バッタチャルヤ=シュテットラーさんがいらっしゃった際に、思い切ってたずねてみました。

「ああ、これはライラックの花ですね」

なるほど!ライラックでしたか!謎が解けてすっきりのミュージアムスタッフ(花に詳しい方が見ると一目瞭然かもしれません)。そう思って再度作品を見ると、絵の中の少女たちが、ライラックのかすかな香りを吸い込んで宿題をしていたりベンチで居眠りしたりしているのだなぁと、新たな想像が広がります。ちなみにライラック、ヨーロッパでは春を告げる花として知られているそうです。

  

 


 

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