アンカーの子どもをさがしてみよう! Part 2

素朴でほのぼのとした子どもたちを描いた作品が多いアンカーですが、重いテーマの作品も描いています。特に本展では、彼自身の悲しい体験をもとにした作品に、展覧会をご覧になった方が「胸を締め付けられた」と多くの感想を寄せてくれました。

 アンカーは生涯6人の子どもを授かり、絵画の題材としても自分の子どもたちを多く取り上げました。しかし、子どものうち2人は幼くして他界しています。本展には悲しみのうちにアンカーが描いたとされる作品が2点出品されています。

そのうちのひとつが≪死の床につくリューディ・アンカー≫。わずか2歳で亡くなった、長男リューディの死の床での姿を描いた作品です。「自分の子どもの死まで絵の題材に?!」と驚かれるかもしれませんが、アンカーは絵を描くことで息子の喪失を乗り越えようとしました。作品の左上には、あふれる思いを抑えきれないかのように、ドイツ語で「愛しい、愛しいリューディ」と刻み付けられており、観るものの胸を熱くします。

リューディに関する絵は本展にはもう1作品出品されています。≪リューデリ(1869年の油彩作品の模写)≫はリューディの生前の姿を描いた絵ですが、実はそのタイトルにもあるように、死の直前に描かれた油彩を後に水彩で模写したものなのです。フォークで熱心に食事する愛しいわが子の様子を思い出し、アンカーは何度も襲ってくる悲しみを昇華しようとしたのかもしれません。


 

ページの先頭に戻る
Copyright (C) TOKYU BUNKAMURA, Inc. All Rights Reserved.