2005年10月、オペラ「ドン・ジョヴァンニ」で待望の初来日を果たすベルギー王立歌劇場。このたび、同歌劇場の音楽監督を務める指揮者・大野和士が来日、同プロダクションの魅力を語るという、音楽ファン注目のイベントが行なわれた。
Bunkamuraオーチャードホールに集まった500人を超える観衆の前にさっそうと登場した大野は、まず、ベルギー王立歌劇場の特色から話をスタート。ベルギーの首都ブリュッセルの、かつて造幣局(ラ・モネ)があった場所に建てられたことから、同歌劇場が「モネ劇場」という名前でも親しまれていること、ベルギーはオランダ語、フランス語、二つの言語による文化圏から成る国であるゆえ、オペラ公演の際の字幕の表示にもいろいろと配慮がなされていることなど、興味深い話題が続く。フランスからもドイツからもほぼ等距離に位置しているベルギーは、双方の文化に拓かれているという利点をもち、ワーグナーの「ワルキューレ」「ジークフリート」等をはじめとするさまざまな名作オペラのフランス語版の初演も、パリより一足先にモネ劇場で行なわれてきたという歴史があるそうだ。 |