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人生を豊かにする本と出会うには?
読書の習慣を身につけよう

新年度が始まって仕事や生活の環境が変わる4月は、新しい習慣を始めるのにうってつけのタイミング。その1つとしておすすめしたいのが、人生を豊かにする本と出会える読書習慣です。そこで今回は、「本を読む時間がない」「読書したいけどなかなか読みたい本が見つからない」とお悩みの方のために、読書習慣を身につける方法や、読書の幅が広がる本との出会い方をご提案します。

人はなぜ本を読むのか?読書時間を作るコツは?

読書を通じて得られる体験は、本の数だけ存在します。想像力豊かな物語を通じて、平凡な日常に不足しているドキドキやワクワクを感じたい。現実から空想の世界へ離れて、気分転換やストレス発散をしたい。新しい知識や教養を身につけて、仕事や生活に生かしたい。自分にはない考えや価値観に触れて、悩みや課題を解決するヒントにしたい。語彙力や文章力を養い、言葉を使いこなす能力を高めたい──。人が本を読む目的はさまざまですが、それらに共通するのは「読書を通じてしか得られない体験がある」ということです。

中には「忙しくてなかなか本を読む時間がない」という方もいるかもしれません。そうした中でも、いつもより15分早起きしてみたり、通勤中の移動時間や、帰宅後のスマートフォンやテレビを見ている時間の一部を読書にあててみるなど、日常のスキマ時間を少しだけ見つけ出してみませんか。そして、いざ本を手に取って読み始めると、思いのほか引き込まれることもあります。また、毎日決まった時間に本を読むようにすると、無理なく習慣として続けやすくなるのでおすすめです。

人生を豊かにする本との出会い方5選

本を読みたいという意欲があっても、いざ自分の好みや目的にマッチした本を探すとなると実は至難の業。本の数や種類が多すぎて、その中からどれを選べばいいか分からず困っている方も少なくないでしょう。あるいは、いつも手に取る本の種類が似てしまい、なかなか読書の幅が広がらないと悩んでいる方もいることでしょう。そんな方たちのために、本との出会いを広げるヒントをご紹介します。

①定期的に書店に足を運ぶ
近年はネット通販や電子書籍で手軽に本を手に入れることができますが、ネット上で本と出会うには検索力によるところが大きくなります。中にはおすすめ本が表示されるサイトもありますが、これは過去の検索・購入履歴に基づいて表示されるもので、結局は本のセレクト傾向が偏ってしまいがちです。
一方、書店に足を運べばそこには知らない本がたくさんあり、思いがけない一冊と出会える可能性が無限に広がります。品揃えが豊富な大きい書店もいいですが、店主のセレクトにこだわりがある個人経営のこじんまりした書店もおすすめです。カバーの要約やあとがきを読んで内容を吟味するもよし、売場に平積みされたトレンド本から興味を惹かれた一冊を選ぶもよし。仕事帰りや休日など心と時間にゆとりがあるタイミングでじっくり売場を巡ってみてください。

②ブックカフェでゆったり過ごしながら本を探す
書店は売場がたくさんありすぎて選びづらい、あるいは長時間立ったまま本を探すのは疲れるという方には、本棚に囲まれながら読書や飲食ができるブックカフェがおすすめ。読書に適した落ち着いた空間でおいしい食事やドリンクを味わえば、居心地のいいリラックスした気分でお気に入りの本を探しやすくなります。また、通常のカフェだと周りの話し声や滞在時間が気になってしまうのに対して、ブックカフェは本を読むための場所なので気兼ねなく長時間過ごすことも可能です。インテリアが個性的だったり、写真集や絵本など蔵書のジャンルに特色を持つお店もあるので、ぜひ好みのブックカフェを見つけてください。

③自分に合った“本のコンシェルジュ”を見つける
膨大に存在する本の中から自分にマッチした本を探し出すには、自分の要望や相談に応えてくれるコンシェルジュのような存在が大きな助けとなります。その一例が新聞・雑誌・Webの書評です。本選びの傾向が自分の好みと似ていたり、評論の着眼点や感性に共感できる書評家を見つけたら、その人の書評を定期的にチェックしてみてください。そうすればきっと自分の興味や目的に沿った本と出会いやすくなることでしょう。


「PASSAGE by ALL REVIEWS」   東京都千代田区神田神保町1-15−3 サンサイド神保町ビル1F
神保町の共同書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」。店主ごとに異なるテーマの棚を巡りながら、選書の違いを比較できるのが魅力です。多様な視点に触れることで、自分に合う“本のコンシェルジュ”を見つけやすくなります。

「LIBRAIRIE」(Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下内) 東京都渋谷区渋谷1-24-12 渋谷東映プラザ 7F&9F
アートショップNADiffによる特別なキュレーションがされた「LIBRAIRIE」。Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下内にあり、映画を観る日はもちろん、観ない日も「行くだけでなにかがある」本との出会いを楽しめる空間です。

④“本のプロ”が選んだ文学賞の受賞作を参考にする
作家・編集者・書店員など“本のプロ”が選考を務める文学賞も、多数出版されている本の中から優れた作品を教えてくれる“本のコンシェルジュ”と言えます。文学賞は芥川賞や直木賞といった王道のほかにも、アカデミックな賞に対抗して創設されたパリのドゥマゴ賞の先進性と独創性を継ぎ、毎年かわる「ひとりの選考委員」によって選ばれるBunkamuraドゥマゴ文学賞など、独自のコンセプトや視点を持つ文学賞も多くあります。それぞれ異なる特徴を持つ文学賞を参考に、読み逃している名作を見つけてください。


パリの自由な精神を継承するBunkamuraドゥマゴ文学賞。一番の特徴は、毎年かわる「ひとりの選考委員」が独自の視点で受賞作を選ぶ点にあります。小説やエッセイ、ノンフィクションまで対象は幅広く、自分では手に取らない作品に出会えるのも魅力です。選考委員が惚れ抜いた熱量の高い作品を通じて、新しい読書体験が広がります。

⑤たまには自分の興味から脱線する
前述のような書評家をはじめ、ネットのレビューやSNSの口コミなど“体験者”の意見は本選びにおいて大いに参考になります。ただしその一方、そうした情報に基づいたセレクトは万人が選ぶ無難なものに落ち着きがちで、思いがけない一冊との出会いは難しくなります。
そこで大事になるのが、偶然と直感です。書店でたまたま目にした本のタイトルやカバーが直感的に気になれば、思い切って読んでみてはいかがでしょうか。あるいは、自分が本に求める目的や興味から少し脱線してみるのもおすすめ。ちょっと遠回りするつもりでいろんな本を手に取っていけば、あなたの読書の幅が今以上に広がることでしょう。

本には読者の心を動かし、その人の人生を変える力があります。そんなかけがえのない一冊との出会いを、今回の記事を参考にぜひ体験してみてください。

文:上村真徹


Bunkamuraドゥマゴ文学賞

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