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『踊る。遠野物語』ツアー公演紀行

K-BALLET Opto『踊る。遠野物語』は、東京公演を終えたのち、東北と北海道を巡る旅に出ました。山が連なる鶴岡、舞踏の地・秋田、潮薫る港町の八戸、作品の舞台である遠野に程近い北上、雪景色の美しい札幌―土地ごとの空気や文化に触れながら公演を重ね、作品に新たな経験と記憶を刻んでいきました。今回は、その道行きを少しだけ振り返ります。
 

旅の始まりは、出羽三山のお膝元
──荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)

月山・羽黒山・湯殿山の出羽三山に囲まれた山形県鶴岡市から、ツアーは幕を開けました。山々に抱かれたこの土地は、古くから山岳信仰と生活が結びついています。

劇場前にて。外観、客席共に鶴岡の山並みをを思わせる美しい劇場です。

三山から日本海へと続く盆地の風景は『遠野物語』とも響き合い、ツアーの第一歩としてカンパニー一同にとっても記憶に残る公演となりました。

©Hajime Watanabe

 

祭りの熱を内包する舞踏の地
──秋田芸術劇場ミルハス

2箇所目は大寒波と共に秋田へと移動します。
空き時間にご当地グルメを満喫するのも旅公演の醍醐味。稲庭うどんやしょっつる煮、ラーメンなども満喫し力を蓄えました。


秋田は麿赤兒が師事した暗黒舞踏の祖・土方巽が生まれ育った地。雪国ならではの風土と祭りの文化に育まれた土壌の中で、静かな緊張感と熱を観客に届けました。

©Hajime Watanabe

 

石橋奨也が故郷に凱旋!
──SG GROUPホールはちのへ(八戸市公会堂)

©Hajime Watanabe

海に程近い青森県八戸市は、新鮮な海の幸を楽しめる市場や、昔ながらの路地が広がっています。主演の石橋奨也の出身地でもあるこの地で迎えた公演では、客席からひときわ大きな拍手と声援が送られました。

 

 

竟に、しし踊りの本場へ
──北上市文化交流センターさくらホールfeat.ツガワ

ツアーはいよいよ『遠野物語』の舞台、遠野盆地のある岩手県北上市へと向かいます。ここは作品ラストに登場する“しし踊り”の本場。
かつて森山に踊りを伝授してくださった板澤しし踊り保存会の皆さまにもご来場いただき、演者一同、より一層緊張感をもって舞台に臨みました。柳田が愛した遠野の情調と作品がより深く結びついていきます。

©Hajime Watanabe

北上では眞秀によるバックステージへのアナウンスも!この旅を通じてカンパニーの絆も深まっていきました。

 


どんとはれ!雪踊る札幌で大千穐楽
──札幌市教育文化会館

©Hajime Watanabe

ツアーの最終地は札幌。雪に包まれた北の都市で迎えた大千穐楽では長い旅を締めくくる、温かな拍手が客席から送られました。

終演後、舞台上には山人達の足跡が──

「どんとはれ」──『遠野物語』が終わりを告げるその言葉のように、雪の札幌で本ツアーは幕を下ろしました。各地で重ねられた公演の記憶は、作品の中に確かな足跡として刻まれています。