【特集】舞台『踊る。遠野物語』
いま、この瞬間の尾上眞秀。― 未公開カットとともに、その魅力を少しだけ。
制作現場から届いた未公開の稽古写真を眺めていると、自然と目が止まる瞬間があります。
13歳の尾上眞秀。大人のダンサーや舞踏家に囲まれながら、どこか場の中心にいるように見える不思議な存在感があります。

演じるのは、この世とあの世の境を行き来する少年K。
子どもと大人のあいだを行き来している“いま”の眞秀の状態と、役の輪郭が自然に重なっていきます。声や身体つき、動きの軽さやしなやかさが変わっていく途中の時期だからこその曖昧さが、少年Kの神秘的な雰囲気に奥行きを加えています。
稽古場で眞秀を見つめる森山開次さんは、「説明よりも先に身体が理解してしまう」と何度も驚いた様子でした。はじめて触れるスタイルでもためらわず、動きの癖や空気の変化にすぐ馴染んでいく。その吸収の早さは、技術や経験とは違う“いまの状態の強み”で、森山さんにとっても刺激になっているようです。
麿赤兒さんが強く感じたのは、年齢を超えた落ち着きでした。舞踏家たちの重い呼吸とともに並んでも、視線がぶれず、立ち姿が自然に舞台の人のそれになっている。大人の身体の動きに対しても怯むことなく、自分の興味のほうを先に差し出すような寄り方をするところに、麿さんは“芯の強さ”のようなものを見ていました。

稽古場では、眞秀が場の空気をほんの少しあたためる瞬間が何度もあります。年上のダンサーや舞踏家に臆することなく言葉を交わし、失敗もすぐ切り替えてまた挑戦する。その明るさと柔らかさが、緊張しがちな創作の時間に自然な呼吸を生んでいました。

細い身体に大人びた表情がふっと宿る瞬間や、軽い跳躍のあとに深い静けさが流れ込むような場面は、今の年齢ならではの魅力です。数年後にはまったく違う姿になっているはずの時期で、変化の途中にある表現者を作品の中にとどめられるのは、この舞台だけかもしれません。
今回のメルマガでは、そんな稽古場の未公開カットも合わせてお届けします。動き出しの軽さも、静止したときの落ち着きも、13歳の眞秀の“現在”がそのまま写り込んでいます。
少年Kという役が、いまの眞秀に託された理由は、舞台を観るときっと実感していただけるはずです。
どうぞ劇場で、その瞬間に立ち会っていただければと思います。






写真:渡邉肇
公演日程
2025/12/26(金)15:00開演
2025/12/27(土)12:30開演/17:00開演
2025/12/28(日)12:30開演/17:00開演
会場:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
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