
クラシック(ビギナーのための鑑賞ガイド④)
コンサートホールや劇場で生のコンサートやお芝居を体験してみたいけど、分からないことが多く、何となく敷居の高さを感じてしまう…。そうした不安を払拭して最初の一歩を踏み出すきっかけになるよう、初めて文化芸術を楽しむための入門知識をまとめた初心者向け企画「Start! Bunka ビギナーのための鑑賞ガイド」。第4回はクラシックコンサートを楽しむコツや公演選びのポイント、そして鑑賞時の基本的なマナーをご紹介します。
クラシックコンサートはどんな公演を選べばいい?
数百年間にわたって世界中で聴き継がれてきたクラシック音楽には、時代を重ねても色あせることのない魅力があります。クラシック音楽と一口に言っても、交響曲・協奏曲・管弦楽曲・室内楽曲・歌曲などジャンルが多岐にわたり、楽曲レパートリーも実に豊富。それらの演奏をコンサート会場で聴けば、生演奏ならではの空気の振動や臨場感、そして豊かな響きに感動すること間違いなし! さらにコンサートには「見る」楽しさもあり、個性豊かな指揮者や奏者たちのパフォーマンスを目の前で見ながら演奏を聴くと、視覚と聴覚が交わり合って感動が増幅します。
クラシックコンサートは、海外の名門オーケストラの来日公演から地方都市のオーケストラの定期公演まで、またオーケストラからソロリサイタルまで、演奏者や編成によって多種多彩。しかも首都圏に限らず全国各地で開催されていて、気が向けば気軽に足を運ぶことができます。では、そんな数ある公演の中から何をどうやって選べばよいのでしょう?
クラシック音楽には大編成のオーケストラ、ピアノなどの器楽が主役のコンチェルト、あるいは少人数の器楽合奏・独奏など、いくつか演奏形態の種類があります。なかでもオーケストラは楽器が多くて音色も多彩で楽しみやすいので、ビギナーにもおすすめです。また、自分が習ったことのある楽器や耳にしたことのある楽曲が演奏される公演から入るのも馴染みやすいはず。クラシック音楽の名曲はドラマ・映画・CMなどで流れていることが多く、そうした知っている曲が含まれた演目だとより鑑賞しやすいでしょう。馴染みのある映画音楽やゲーム音楽のオーケストラコンサートも入口としておすすめです。さらにある程度の鑑賞体験を重ねると、演奏が自分好みの指揮者やソリストの公演に足を運んだり、将来性豊かな若手演奏家を見つけてその成長を追いかけるなど、コンサートの楽しみ方がますます広がります。
なお、演奏曲の“予習”は必須ではありませんが、事前に聴いておくと曲の展開が分かるので上演中も飽きにくく、曲のテンポや強弱といった演奏家独自のこだわりも楽しみやすくなります。
クラシックコンサートでの席選びのポイントは?
他にも初めてのクラシックコンサートで多くの方が迷うのは、「どのエリアの席で鑑賞すればいいか」ではないでしょうか。ホールに足を運んだことがないと、それぞれの席の特徴や違いをイメージしづらく、どんな基準で席を選べばいいか分からないですよね。
良い席の定義は、公演内容やご覧になりたい目的によって変わってきます。演奏者との距離が近くて楽器の指使いも見やすく、音の迫力と臨場感をダイレクトに味わうことができる1階前方。ステージ全体が視野に入って後方の演奏者もよく見え、オーケストラの音のバランスが程よい1階後方。オーケストラのアンサンブルを俯瞰して見渡せるとともに、すべての楽器の音がブレンドされたより豊かなハーモニーを味わえる2~3階席。斜め方向になりますが、上部から舞台を俯瞰できるバルコニー。それぞれの席によって視覚や音響に特徴があるので、何度か通って自分好みの席を探してみてください。
クラシックコンサートの鑑賞マナーは?どんな服装で行けばいい?
クラシックコンサート全般の鑑賞マナーとして最も気を付けることは、演奏中に音を立てないことです。会話はもちろん、咳もできるだけ曲や楽章の合間まで控えましょう。カバンや袋を開けたり、コンサートのパンフレットをめくる音も、自分が思っている以上に周りのお客様には聴こえてしまうもの。同じ理由から演奏中の途中入場ができない場合があるので、開演時間に間に合うよう余裕を持って来場することをおすすめします。演奏に感動して拍手したくなったら、余韻を消さないよう演奏が終了して一呼吸おいてからにしましょう。「そもそも拍手のタイミングが分からない」という方は、周囲の拍手のタイミングに合わせるとよいでしょう。あと、意外と盲点なのが鑑賞時の姿勢。前のめりに座ると後方のお客様の視界をさえぎることになるので、座席の背もたれに背中を付けた状態で座りましょう。
なお、客席内での飲食、撮影・録音・録画は禁止。携帯電話・アラーム付き時計など、音の出る電子機器の電源は切っておきましょう。補聴器をお使いの方は、開演前に正しく装着されているか確認することをおすすめします。他にも分からないことや鑑賞中に困ったことがあれば、案内スタッフに相談してみると良いでしょう。
マナーと言えば、「クラシックコンサートにどんな服を着ていけばいいか分からない」と迷う方も多いのではないでしょうか。オーチャードホールで上演される一般的なコンサートにはドレスコードはなく、気構えずラフすぎない清潔な服装であれば問題ありません。もちろん、場の雰囲気を楽しむオシャレをするのも大丈夫。なお、周囲の方への配慮のため、帽子は開演中には脱いで、香りの強すぎる香水は避けた方がよいでしょう。
会場で快適にお過ごしいただくために/チケット購入方法
公演当日に最低限必要なものはチケットですが、会場内の空調の寒暖の感じ方には個人差があるので、ショールやカーディガンなど軽く羽織って体温調整を行えるアイテムや、咳やくしゃみが出てしまう時に口元を押さえられるハンカチもあると便利。他にも、ステージの様子を間近に感じることができるオペラグラス、公演前後に購入したグッズを入れるエコバッグなど必要に応じて持参しましょう。
チケットは、おもに各プレイガイドや公演会場のチケットカウンターなどで販売されます。販売方法は公演によって異なるので、詳しくは主催者のホームページをご覧ください。Bunkamura主催公演では、オンラインチケットMY Bunkamuraをはじめ、Bunkamuraチケットセンター(電話)・東急シアターオーブ/Bunkamuraチケットカウンター(店頭)または各プレイガイドでのご購入、ご予約が可能です(詳細はBunkamuraチケットガイドでご確認ください。)。公演によっては学生向けのシートや料金を用意しているものもあるので、こちらも公演のホームページでご確認ください。また、残席状況によっては会場で当日券が販売される場合があるため、事前販売でチケットが完売になってもあきらめず公演のホームページをこまめにチェックしてみてください。