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イベント情報


『青い日記帳×レーピン展 ブロガー・スペシャルナイト』(2012年8月21日)

「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」開催に合わせて、人気アートブログ"青い日記帳"とのコラボレーションイベントを開催しました。ご自身のブログやTwitter、facebookなどで本展のレビュー記事を書いて下さる方を対象にしたスペシャルイベントです。

<イベント概要>

・『ブロガー・スペシャルナイト』 座談会&貸切鑑賞会
・実施日時:2012年8月21日(火)19:30~21:00
・ナビゲーター:ブログ"青い日記帳"主宰Takこと中村剛士氏
・ゲスト:山下裕二氏(明治学院大学教授)
     籾山昌夫氏(神奈川県立近代美術館 主任学芸員)
・場所:「レーピン展」展示室内

私たちミュージアム・ギャザリングスタッフが、ロシアの画家レーピンの魅力を全国に発信すべく立ち上げた「レーピン展応援団」。そのメンバーのひとりとして立ち上がってくださった、人気アートブログ"青い日記帳"主宰のTakこと中村剛士さんをナビゲーターにお迎えし、レーピン・ファンでいらっしゃる山下裕二氏(明治学院大学教授)と本展のメイン・キュレーターも務めてくださった籾山昌夫氏(神奈川県立近代美術館 主任学芸員)の3名で、まだまだ日本では知られていないレーピンの魅力をたっぷりと語っていただきました。ちなみに山下先生は、12月に開催予定の「白隠展」の監修者でもいらっしゃいます。

座談会の後は、ブロガーのみなさんによる貸切鑑賞会。今回のイベントでは特別に写真撮影OK。展覧会の作品を楽しみつつ、会場の様子を撮影いただき、ブログやSNSに掲載いただくことにより、レーピン展の魅力を発信していただこうという企画です。
当日の様子をレポートさせていただきます。

会場は今回のメインポスターにもなっているレーピンによる作品《休息-妻ヴェーラ・レーピナの肖像》の前のスペース。平日火曜日の夜にもかかわらず80名を越える方にご来館いただきました。ありがとうございました。

ということでまずはナビゲーター&ゲストの方々による座談会がスタート。レーピンの重厚な油彩作品が並ぶ展覧会場がそのままイベント会場となったので、ひょっとしたら静かな雰囲気になるのではないかと少し不安もありましたが、山下先生をはじめ、みなさんの深く掘り下げつつも軽妙なトークで、会場は終始楽しい雰囲気に満たされていました。
(写真左から、籾山昌夫氏、山下裕二氏、中村剛士氏)

籾山先生からは、展示されているレーピンの作品に関する解説やレーピンに関するこぼれ話など、レーピン研究の第一人者ならではの興味深いお話をたくさんお聞きする事が出来ました。
日本にあったレーピンの作品が盗まれたお話や、ロシア革命でレーピンが飢え死にしたと言うデマを受けて、詩人・土井晩翠が詩を詠んだお話など、意外にも日本とレーピンのつながりが浮き彫りになるなど、貴重なお話も次々と飛び出します。

個別作品の解説でも、本物がすぐそばにあるだけに、臨場感あふれるお話となりました。今回、日本初登場となる作品のひとつに《作曲家モデスト・ムソルグスキーの肖像》がありますが、これはムソルグスキーが亡くなる10日前に描かれたものだそうです。病院にレーピンが出向いて描いたとのこと。このとき、会場内にムソルグスキー作曲の『展覧会の絵』をBGMとして流しました。『展覧会の絵』を聞きながら、レーピンが描いたムソルグスキーの肖像画を見る。何とも贅沢で座談会の中でも特に盛り上がった瞬間でした。

山下先生からも、レーピン作品の持つ魅力をたっぷりと語っていただきました。特に、先生がご専門でいらっしゃる日本美術とレーピンの作品や時代背景の比較は非常に興味深いお話でした。また、中村氏からは、《思いがけなく》の作品の壁に心霊写真的な影が見える(笑)、というユーモアあふれる発言も飛びだすなど、ゲストのみなさんの個性あふれるトークが続き、あっという間に予定していた1時間が過ぎました。

座談会中に撮影される方もちらほら。これもブロガーナイトならではの光景。

最後はゲストのみなさんがそれぞれお好きな作品発表。山下先生のお気に入りは《ピアニスト、ゾフィー・メンターの肖像》(レーピンにしては珍しく厚塗りの、二の腕が素晴らしいそうです)や、《ワルワーラ・イスクル・フォン・ヒルデンバント男爵夫人の肖像》、《キャベツ》、《自画像》。中村氏は《思いがけなく》をチョイス。とにかくこの作品に大きな感銘を受けられたそうです。籾山先生のおススメは《少女アダ》。眉毛の上の部分とほお骨の繊細なぼかし残しが素晴らしいとのこと。他の油彩作品の大胆なタッチとの違いに注目。また《農家の中庭》では、屋根が崩れているところに小さな鳥がいるのでぜひ探してみてくださいとのこと。レーピンの遊び心が伝わるエピソードでした。みなさんもぜひ会場でご覧になってください。

ということで座談会が終了。次はブロガーのみなさんのための貸切鑑賞会。関係者を含めても100人に満たない贅沢な会場で自由にご覧いただきました。今回は特別に写真撮影OKのイベントでしたが、みなさんまずはじっくりと作品をご覧になっていたのが印象的。座談会で話題にのぼった《作曲家モデスト・ムソルグスキーの肖像》《皇女ソフィア》《思いがけなく》などの作品がやはり人気でした。

   

30分という時間でしたが、貸切鑑賞会が終了し、今回のイベントが無事終了しました。 今回の企画では、ゲストの先生方をはじめ、レーピンにご興味のあるみなさんと、レーピンの魅力について共有する事が出来ました。ゲストのみなさん、参加いただいたブロガーのみなさん、本当にありがとうございました。みなさんがそれぞれご自分のメディアでレーピンの魅力を発信してくださることで、まだまだレーピン展はこれからさらに盛り上がっていくと思います。
ブロガーナイトもまた次の機会に開催したいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

(おまけ)

終了後は、今回のイベントがたくさんのブログにアップされることを願いつつ、関係者&スタッフで軽く打ち上げを開催。
ちなみに左手前にいらっしゃるのは、「フクヘン。」ブログでおなじみ、美術ジャーナリストの鈴木芳雄氏。レーピン展応援団のお一人です。みんなで引き続きレーピンの話題などで盛り上がりました。



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