紺碧の美しい海岸風景、岬の先端に建つ風雅な神殿は均整の取れた「美」を我々に焼き付け、差し込む日差しに影を創りだす遺跡の名残は、幻想的な雰囲気さえ感じさせる。
1967年に渡仏して以来、ニューヨーク・パリを始めカリブ海・地中海などその土地でしか味わえない「色」を常に追い求め、我々を魅了し続けてきた画家吉岡耕二。
そんな彼が今回14回目の個展に選んだ場所は「エーゲ海~シチリア・マルタ」。第1回のテーマでもあるこの地を改めて想い、約20年振りに新たに描き上げる。
妥協なき作品への信念・研ぎ澄まされる色彩感覚が変わりゆく心を捉えた時、吉岡の魂は見事なまでに調和し画面に映し出される。そこからはただ描かれた風景だけでなく、自らと真摯に向き合う作家本人の心そのものが宿っていると改めて感じさせられる。
今展では新作の油絵を中心に並行して制作を進めるオイルオンペーパー、新作版画と多岐に渡り展覧・販売予定。
不変的とも取れるこの土地に、彼はどのような色を重ね表現していくのだろうか。記憶の風景に息吹を与える“色彩の魔術師”吉岡耕二の新たなる挑戦を是非ご覧いただきたい。