現代彫刻家として日本を代表するアーティスト、舟越桂。巨匠と謳われた彫刻家、舟越保武を父に持ち、幼い頃から彫刻に慣れ親しんだことで自然と彫刻家を目指すようになりました。1980年から現在に至るまで楠を素材に一貫して人間像を制作しており、その従来の具象彫刻に捉われない幻想性を兼ね備えた作風は数々のビエンナーレや国内外の展覧会で高く評価されています。
憂いと諦め、怒りと安らぎ、混在した感情を包みこみ無言で佇む半身像は、この世界ではないどこか別の場所を見ているようであり、その人物の過ごしてきた過去から現在までの時間すべてを内包しているように感じさせます。近年のテーマである両性具有のスフィンクスをモチーフとした作品は、本来の人間の形とのずれから生まれる違和感が、人間とは一体何かという根源的な問題を私たちに問いかけています。
新作版画展としては4年振りとなる本展では、豊かな濃淡表現に富むメゾチントを使用した新作版画6点を中心に、旧作を含めて30余点を展示、販売いたします。現在に至るまで様々な版画技法に挑戦し、変化し続ける舟越の版画作品。舟越桂の最新作を、心ゆくまでご堪能ください。