幾重にも折り重なった幻想を描き記す作家・建石修志。鉛筆画をはじめ、油彩とテンペラによる混合技法、コラージュ、オブジェによる制作活動を展開し、その物語性のある表現は、美術界のみならず文学界など多方面から高い評価を得ています。また、多くの挿画・装丁も手掛け、2003年に惜しまれつつも休刊となった季刊誌「幻想文学」では創刊号から表紙画を務めました。
目に見える事象ではない思想と欲望が入り混じるその世界は、観る者を惑わせ、儚く美しい緻密な描写は琴線に触れる様に深層を照らします。秘密めいた薔薇、冷たい眼差しを持つ少年、セピア色の記憶、今にも欠けそうな月、静寂の中に歪む建造物。まるでひとつひとつの紙片が重なり合うかの様に、交差する幻想世界が現れては消え、その紙片と紙片の狭間には詩想の訪れをも予感させます。
Bunkamura Galleryにて9年振り2回目となる本個展では、2011年に青木画廊にて開催された画集出版記念展「leaf/poetry‐紙片の狭間へ-」の補遺として、同展では発表されなかった新作を含めた油彩・ドローイング・オブジェなど一堂に展覧販売致します。建石の耽美なまでの表現哲学が惜しみなく表出された幻想世界をご堪能下さい。
「幻視者のリアル」
32×50.5cm ボード/油彩・テンペラ 2011年
建石修志 / Shuji TATEISHI
1949年東京生まれ。東京芸術大学卒業。
鉛筆画を中心とした作品をはじめ、油彩とテンペラによる混合技法、コラージュ、オブジェによる制作活動を展開、また幻想文学関連の数多くの装画・装幀の仕事を手掛る。1973年の初個展以来、数多くの個展、グループ展を開催し、画集や絵本も多数出版している。 2011年には画集「leaf/poetry-紙片の狭間へ-」を出版し、青木画廊にて出版記念展を開催。