作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 演出:蜷川幸雄
2013年1月12日(土)~2月3日(日) Bunkamuraシアターコクーン
1999年、野田秀樹脚本・演出で世田谷パブリックシアターにて上演された「パンドラの鐘」。同作品が同時期にシアターコクーンにて、蜷川幸雄演出版として全く違うキャスティングで上演されました。同じ物語でありながら、作者である野田から生まれた作品と、情報源は脚本のみという蜷川から生まれた作品は、キャストが違うだけでなく、作品世界を彩る舞台美術・音楽・照明と全てが違い、いずれの作品も観客を魅了し、「20世紀最大の演出バトル」として世に大きな話題と衝撃を与えました。
その「パンドラの鐘」から13年。蜷川幸雄に再び演出バトルの挑戦状を叩き付ける鬼才が現れました。その名はケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)。KERAと言えば、そのパワーは演劇界だけに留まらず、音楽・映像の分野でも数々の話題作を創り出し、マルチクリエイターとして独自の世界を崩すことなく精力的に活動を続けています。鋭い視点をユーモアでつつみ、緻密に組み立てられたセリフと絶妙な構成力で物語をスピーディーに展開させるその独特の作風は、"ケラワールド"という言葉で表現されるほどです。KERAと蜷川は、2009年に蜷川演出のさいたまゴールド・シアター「アンドゥ家の一夜」の脚本をKERAが手掛け、相性の良さは実証済み。ここに21世紀最大の演出対決が実現します!
この演出バトルのためにKERAが書き下ろす物語は、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を、もしもガブリエル・ガルシア・マルケスが「カラマーゾフの姉妹」として翻案したら…。という興味から誕生したという「祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~」。KERA自身が得意とする寓話的な要素と群像劇で魅せる、幾多の登場人物が壮絶に絡み合う一大クロニクル。ケラリーノ・サンドロヴィッチが贈る、渾身のブラックファンタジー。
この冬、ケラワールドに演劇界の巨匠・蜷川幸雄が挑みます。
1963年1月3日生まれ 東京都出身
82年、ニューウェーブバンド・有頂天を結成。並行して85年に犬山イヌコ(当時は犬山犬子)、みのすけらと劇団健康を旗揚げ、演劇活動を開始する。92年の解散後、翌93年にナイロン100°C を始動。近年、舞台活動では劇団公演に加え、KERA・MAP、オリガト・プラスティコ、空飛ぶ雲の上団五郎一座などのユニットにも主宰、参加するほか、外部プロデュース公演への参加も多数。近作に シス・カンパニー「ウァージニア・ウルフなんかこわくない?」(演出・読売演劇大賞最優秀作品賞受賞)、さいたまゴールド・シアター「アンドゥ家の一夜」(作/演出:蜷川幸雄)、シスカンパニープロデュース「2人の夫とわたしの事情」、シアターコクーン「黴菌」(作・演出)、cube present「奥様お尻をどうぞ」(作・演出)がある。近年の映像活動として、初監督映画「1980」(03)、「おいしい殺し方」(06)、大槻ケンヂ 原作「グミ・チョコレート・パイン」(07)、「罪とか罰とか」(09)の脚本・監督 をつとめ、テレビドラマでは「時効警察」(テレビ朝日/第8話)「帰ってきた 時効警察」(第4話)などがある。音楽活動では、バンド『ケラ&ザ・シンセサイザーズ』でボーカルを務め、新作アルバム「ザ・ベスト・オブ・ケラ&ザ・シンセサイザーズ」が発売中。本年度より、岸田國士戯曲賞、選考委員を務める。99年「フローズン・ビーチ」第43回岸田國士戯曲賞を受賞。以降数々の演劇賞を受賞。
1935年10月15日生まれ 埼玉県出身
55年に劇団青俳に入団し、67年に劇団現代人劇場を創立。69年「真情あふるる軽薄さ」で演出家デビュー。72年演劇集団『櫻社』結成、74年同劇団を解散後、「ロミオとジュリエット」で大劇場演出を手掛けるようになる。以来、名実共に演劇界の第一人者として活動し続けている。また、ヨーロッパをはじめアメリカ、カナダなどで行った遠征公演を通じて、海外でも高い評価を得ている。88年「近松心中物語」の第38 回芸術選奨文部大臣賞をはじめ受賞歴多数。92年には、英国エジンバラ大学名誉博士号を授与された。また、84年に始めた『蜷川スタジオ(ニナガワカンパニー)』では若手の演劇人たちと共に、積極的に実験的な演劇作品を生み出し続けている。06年、彩の国さいたま芸術劇場で55才以上の演劇集団『さいたまゴールド・シアター』、09年に若手俳優育成プロジェクト『さいたまネクスト・シアター』創設。現在、Bunkamuraシアターコクーンと、埼玉県芸術文化振興財団の芸術監督に就任している。