
母リッキー、54歳。家族を捨て、売れないバンドを率いロサンゼルスの小さなライブハウスで歌い演奏する日々を送っている。ある日、別れた夫から「娘のジュリーが夫に捨てられた」と連絡が入った。ジュリーが自殺しかけたと聞いた彼女は、20年ぶりに、インディアナポリスの家族のもとに急ぐ。事業で成功した元夫の邸宅で、傷ついた娘と再会を果たすも、過ぎ去った時間は埋まらない。娘の力になりたいという想いとは裏腹に、母親らしいことが何一つ出来ない自分がいた。彼女は心を決める。今の自分にしかできない方法で、娘の力になることを。それは、歌うこと。心から歌うことで、自分らしく生きてこられた、強くなれた、と娘に伝える為に…。
娘ジュリー、28歳。幼いころ、母親が家を出て家族は崩壊した。結婚して掴んだ小さな幸福も、夫に女が出来て崩れ去った。愛を失い自殺すら試みたジュリー。そんな中、母リッキーが20年ぶりに帰ってくる。ジュリーを励ましたいと"大嫌いな母"が帰ってきたのだ。革のジャケットに、派手なメイクで、ジャラジャラとアクセサリーを身に着けた姿で…。
『イントゥ・ザ・ウッズ』で美しい歌声を披露し、アカデミー賞助演女優賞、ゴールデン・グローブ賞助演女優賞にノミネートされたメリル・ストリープが、本作ではミュージシャン役に挑戦。エレキギターを実際に演奏し、数々の名曲を生声で披露する。そして、メリルの実の娘メイミー・ガマーが娘役で出演。微妙にすれ違う母と娘の関係をリアルに演じ奇跡の母娘共演が実現した。
監督は『羊たちの沈黙』でアカデミー賞とベルリン国際映画祭で監督賞を受賞したジョナサン・デミ。加えて女性の生の感情を脚本に落とし込んだのは『JUNO/ジュノ』でアカデミー賞脚本賞を受賞したディアブロ・コディ。さらに『ワンダとダイヤと優しい奴ら』でアカデミー賞助演男優賞を受賞したケビン・クラインが脇を固める。そしてバンド仲間を演じるグラミー賞受賞ロックミュージシャンでもあるリック・スプリングフィールドが、リッキーの人生を彩る音楽を全面的にサポートし、心震える感動の涙を誘う。