推薦書籍
No.8
『ふるさとって呼んでもいいですか 6歳で「移民」になった私の物語』
ナディ 著・山口元一 解説 大月書店
大盛堂書店 吉田哉人
バブル崩壊後の90年代に家族で来日した「イラン系日本人」の著者が書き上げた渾身の一冊がこちら。
「不法移民」としての不安を抱えながら過ごした時の苦労話を、現在と過去の法制度や社会構造の解説を差しはさみつつ、ご近所との関わりあいを始め、トラブルにたえない異文化での奮闘を経て、高らかに「ふるさと」宣言をするに至るまでの軌跡(各章末のコラムも必読!)。
そして、この本は総ルビなので、初めて日本語に触れる過去の著者のような仲間たちにも向けられたものともなっている。
いまわれわれの暮らしのなかにも、さまざまな事情を携えて来日した外国籍の人びとを見かけることが増えてきている。現在進行形のまさにそのような事象を著者は「内なる国際化」と呼んでいる。 自らの経験を踏まえて、「何かを必要とする人が近くにいたとき、その人が『なに人であるか』と考えるよりも、『何が必要なのか』を考える」ことという、誰もが暮らしやすい社会に不可欠な知恵をわれわれに差し出してくれる。
現在日本で暮らす多くの人に手に取ってもらえることを願ってやまない。
特典
大盛堂書店にてお買い上げの際に、「私のBunkamuraドゥマゴ文学賞」No.8のwebページ又は、Bunkamuraドゥマゴ文学賞メールマガジン2019年9月号をご提示の方、先着5名様にBunkamuraドゥマゴ文学賞オリジナル文庫用ブックカバー(非売品)をプレゼントいたします。
※実施期間:2019年9月3日~2019年11月4日
※特典はなくなり次第終了となります。予めご了承ください。