私のBunkamura文学賞

推薦書籍

No.7

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
ブレイディみかこ 新潮社

HMV&BOOKS SHIBUYA
 鈴木雅代

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
ブレイディみかこ 新潮社

本作はイギリスの労働者が多い街・ブライトンに住む著者が、地元で底辺中学校と呼ばれる学校へ通う息子の目を通して描いたエッセイ。
日本人の両親の元に生まれ日本で育ち、自分の階級を気にしたことも、あからさまな差別も受けたことのない私は、12才の彼の周りで起こる大小様々な事件に驚くばかりだが、この本を読むたび価値観がぐるんと変わるような気づきがいつもあった。
地べたに近い生活を強いられている家族、学校の中でひとり肌の色が違う少女、両親の出身国が違う、日本では「ハーフ(半分)」と呼ばれる人たち。けれどこの本に登場する彼らはきっと下など向いていない。問題に真正面からぶつかり、自分のこの行いはクールかアンクールかと自身に問いているのだろう。そんな強さが私にも欲しい。彼らと同じく威張らず誇張せず背筋をぴんと伸ばしていたいと思うのだ。

世界は広い。広い広い中のちっぽけな私がたくさんの人とたくさんの関わりを持って生きるための「何が正しくて何を大切に思い守るのか」という重要なヒントを彼から投げてもらった気がする。

特典

HMV&BOOKS SHIBUYA5階フロアにてお買い上げの際に、「私のBunkamuraドゥマゴ文学賞」No.7のwebページ又は、Bunkamuraドゥマゴ文学賞メールマガジン2019年8月号をご提示の方、先着5名様にBunkamuraドゥマゴ文学賞オリジナル文庫用ブックカバー(非売品)をプレゼントいたします。

※実施期間:2019年8月20日〜2019年10月20日
※特典はなくなり次第終了となります。予めご了承ください。

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