推薦書籍
No.68
『山の時刻(とき)』文:小林百合子 写真:野川かさね パイインターナショナル
ブックス Tangerina 𠮷沢 朗
山での一瞬を焼き付けた129 枚の写真と、そこからインスピレーションを得て生まれた山にまつわる120の言葉と散文を収録したビジュアルエッセイです。
山がふとした瞬間に見せる詩情を切り取って、大切に取り置こうとしているかのような、野川かさねさんの写真がまず素晴らしいです。そこに「水温む」「夏の果て」「山粧う」「寒厨」など、季節感あふれる美しい言葉が組み合わされ、登山経験の豊富な小林百合子さんが、自らの体験をもとに文章を綴っています。この本を手に取った私たちがどこで何をしていようと、山では粛々と時が重ねられていることが、ありありと伝わってきます。この本を持っていると、文字通り「山の時刻」を手にしているようで、山が私たちに、「街の時間」をどのように過ごしても平気だよと言ってくれているような安堵感を覚えます。
