推薦書籍
No.65
『痩せたらかわいくなるのにね?』南綾子 双葉社
石堂書店松本直子
75ページ、13行目。パンッと頬を打たれたような感覚を抱き、しばし本を置いた。読了後、新しい環境へ移る決意を固めた本でもあり、間違いなく、私が人生で影響を受けた本である。今なお、75ページにはしおりをはさみ、このシーンを読んでいる。
しかし、私はこの本をずっと誰にも薦められずにいた。心にザワザワしたものを呼び起こしうるタイトル。パラパラとページをめくった時に飛び込んでくる登場人物が内面を吐き出す辛辣な言葉。痩せたら?と内心思っているから薦めたと誤解されるかもしれない…。人からの反応を恐れ、自分が抱いた感情をなかったことにしそうなとき、冒頭のシーンが蘇る。
「だけどね、あれだよ。自分が食うものくらい自分で選んで食いなさいよ!」
自身の選択に言い訳も罪悪感もいらない。心に湧き上がる気持ちをそのまま認めること、どうしたいかを自分で決めること。この繰り返しが、これからの私を作っていくのだ。
