私のBunkamura文学賞

推薦書籍

No.57

『クジラがしんだら』文/江口絵理 絵/かわさきしゅんいち 監修/藤原義弘 童心社

SAKANA BOOKS 川村まなみ

『クジラがしんだら』文/江口絵理 絵/かわさきしゅんいち 監修/藤原義弘 童心社

深海で、こんなにドラマチックな生命のいとなみが繰り広げられているとは!クジラがしんだら、なにが起こるのでしょう。命を終え深い海の底へ沈んだクジラのもとに集まる、多種多様な深海生物たち。まぶたを閉じる姿が「夢をみているよう」と命名された説もあるサメの仲間、ユメザメはぎゅっと目を閉じてクジラの肉をむさぼります。ホネクイハナムシというゴカイの仲間は、その骨を生涯の住みかとして次世代に命をつなぎます。静謐な深海世界……とおもっていたら、そこではクジラをあますことなく食べつくす生きものたちの賑やかな大宴会が100年にわたって開催されているのです。地球の表面は約7割が海でおおわれているといいますが、わたしたちの知らない広い海中世界で、わたしたちと同じように一生懸命に生きる深海生物たちの姿から、驚きやわくわく、そしてじんわり勇気をもらえる絵本です。巻末には物語に登場する生きもの図鑑も掲載されていて、至れり尽くせり!

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