私のBunkamura文学賞

推薦書籍

No.41

『バウルを探して 完全版』川内有緒 三輪舎

旅の本屋 のまど 川田正和

『バウルを探して 完全版』川内有緒 三輪舎

バングラデシュで社会階級や宗教に属さず楽器ひとつを抱えて放浪生活をする幻の吟遊詩人「バウル」を、著者が単身現地に乗り込み追いかけた12日間の旅の記録。著者が、バウルを探して混沌としたバングラデシュの大地を当てもなく彷徨い、苦悩し、奮闘する様子を、まるで自分も一緒になってその場で体験してるかのような臨場感あふれるエピソードの描き方が秀逸。読み終えた時には、まるで1本のロードムービーを見終わったような不思議な感覚を覚えます。写真家、故・中川彰氏の100ページにわたって収録された旅の一瞬を閉じ込めたようなバングラデシュの写真も心に響きます。

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