私のBunkamura文学賞

推薦書籍

No.38

『オイモはときどきいなくなる』作/田中哲弥 画/加藤久仁生 福音館書店

ジュンク堂書店 池袋本店 山﨑瑠美

『オイモはときどきいなくなる』作/田中哲弥 画/加藤久仁生 福音館書店

オイモってちょっとへんな犬。小さな物音にもびっくりするし、怖がりだし動きも飛んだり跳ねたりおもしろい、ときどきいなくなるモモヨの家にいる犬。
モモヨと一緒に歩く。鳥の鳴き声や草のにおい、あぜ道から見る風景、田んぼ。めずらしいものでもないのに、加藤久仁生さんの絵も相まって美しく感じる。

おわりを悲しむ気持ちと季節の移ろいを感じる心に、朝のどたばたした支度の時間が綯い交ぜになったような、モモヨを通してみる世界。それがなんだか心地の良い音のようで楽しい。オイモ、愛されてるね。近所にレオンさんのようなおしゃれでかっこいい人が居たらお友達になりたい。羨ましいぞ、モモヨ。モモヨのまわりの人々はあったかくて優しい。
成長 別れ 日常。
あわただしい時にはちょっと立ちどまって、美味しいおやつを傍らにオイモを探しにいこう。

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