私のBunkamura文学賞

推薦書籍

No.28

『たまごのはなし』しおたにまみこ ブロンズ新社

有隣堂 武蔵小杉東急スクエア店 高谷久美子

『たまごのはなし』しおたにまみこ ブロンズ新社

「わたしのはなしをするからね よくきいておくんだよ」
流し目、美脚のたまごはこういうと自分のことを語りだした…。
ある日突然目覚めたたまごは転がっている自分に疑問をもち、立ち上がりジャンプをし、くるっとまわってみた。周りにいる卵も起こそうとしたらころころと転がってしまいひび割れてしまった。次に会いに行ったマシュマロはぜんぜん相手にしてくれないからかじってしまった。「なんでかじるのさ!」マシュマロに言われて初めて、まだ自分がしゃべったことがないことに気が付いた「たまご」。そして言葉にだせば相手に自分の気持ちや考えを伝えられることを知る。この絵本にはそんな「たまご」のはなしが3話詰まっている。ちょっとひねくれものの「たまご」の語りはどこか憎めなくてクスリと笑ってしまう。そして私たちに本当に大切なことは何かを思い出させてくれる。

 一覧に戻る