私のBunkamura文学賞

推薦書籍

No.24

『神楽坂つきみ茶屋 禁断の盃と絶品江戸レシピ』斎藤千輪 講談社

文教堂 溝ノ口本店 太田鉄也

『神楽坂つきみ茶屋 禁断の盃と絶品江戸レシピ』斎藤千輪 講談社

割烹の跡取りを期待された刃物恐怖症の月見剣士は事故で両親を失ってしまう。
彼の幼馴染、風間翔太は元抱かれたいバーテンダーNO.1。
2人の思いが重なり、割烹をワインバーとして再開させようと祝杯を挙げた矢先。
盃に魂を閉じ込められていた江戸の料理人玄が、翔太に憑依。
「人に取り付くのなんて初めてだからよ。どうにも勝手が分からねえ」と、うそぶく調子っぱずれな迷キャラだ。
そんな3人!が、悶着しながら老舗再建を目指す、五感をくすぐる人情譚。
ストーリーを様々な江戸料理が彩る。身近な食材を工夫して活用していた、
いにしえの様子が浮かんでくる。
例えば「結び豆腐」は当時の料理本「豆腐百珍」に載っているレシピの一つ。
だれが豆腐を結べると思うだろう?確かに難しかった。恥ずかしながら成功率2割弱。
でも200年近い時を超えて楽しんでしまった。
読むだけじゃMOTTAINAI。ぜひチャレンジもしていただきたい。
2巻も発売中。3巻もこの秋刊行予定。

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