私のBunkamura文学賞

推薦書籍

No.22

『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』ヤマザキOKコンピュータ タバブックス

Book & Cafe Bar BAG ONE 吉川海斗

『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』ヤマザキOKコンピュータ タバブックス

「投資の話」と題される本書が提示するのは、投資や資金運用の実用的な手法ではなく、お金との向き合い方。生活から切っても切り離すことのできない「お金」について、私たちはどれだけ考えられているだろうか。「選んでいるつもりが、選ばされているのかもしれない」と警鐘を鳴らす著者のヤマザキOKコンピューター氏は、投資家でありながらパンクバンドでも活動している。全国に増え続けるチェーン店やコンビニは確かに便利だけど、その先のお金の流れを考えると、少し視点が変わってくる。コロナ禍の中、行きつけの洋食屋さんや思い出が詰まった大好きな場所の閉店…そんな事が身近に起きた方も多いのではないだろうか。投資と聞くと距離のあるイメージを持つが、大好きなお店や場所を応援したいというシンプルな感情に帰結する話なのかもしれないと考えれば、それはグッと身近に感じる。意思を持って選ぶこと、それは私たちが今すぐ始められる投資活動なのだ。

かつてあのパンク・ロックバンドが“未来は僕らの手の中”と歌ったように、「お金」について考えることは、私たちの生活を豊かするための大事な営みの一つなのだと、少し先の未来へ前向きな気持ちにさせてくれる1冊。

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