私のBunkamura文学賞

推薦書籍

No.15

『名探偵コナンと平成』さやわか コアマガジン

中目黒ブックセンター 鴨志田 道秋

『名探偵コナンと平成』さやわか コアマガジン

平成6年から連載しているミステリマンガ「名探偵コナン」の移り変わりを読み解くことで、日本にとって「平成」はどういう期間だったのかというのを考えてく新書。
この本の中で、昔は殺害方法1位が「刺殺」だったけど、今の1位は別の殺し方になった。というデータがあるのだが、ただの豆知識本ではここで終わるだろう。
この本が凄いのはその殺し方の変化が「今の日本」を表してるんだ…という事まで追求してる所だ。解説ではなく「評論」とはこういうものなのだ。と思わず感嘆。
殺人ラブコメの、コナンの女子キャラクターにはある共通の性格があったり、また新キャラの登場により、社会がこういう風に変化してるんだ…なんて事も。
新書では珍しく今の日本に対する「犯人」と「解決編」の章があるのも新感覚で楽しく読める。
これはコナンの本でもありますが、それよりも「コナンという分かりやすい文化を通してみた今の日本が分かる本」と言えるだろう。

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