細川真希は、もはや彼女独自のキャラクターと言っても過言でない、パターン化された大きな目を持つ中性的な人物を身近な街の風景や浮世絵、両洋の美術史が選ぶ傑作に登場させることによって、印象派が描いた「市民の生活」やルネサンスの「古典的な均衡」や浮世絵の「粋」の感覚を現代的に表現している。
それは、デジタルメディアが造り出す仮想世界の中で、個人の身体性や時空を超え、分裂・増殖し多様な姿へと変身する匿名性帯びた人間の意識を表現しているかのようだ。
ダ・ビンチ、ピカソ、ウォーホル等から歌舞伎や落語の小噺などがその時代を映してきたように、彼女の作品もまた、美術史の先端である現代のサイバー時代の特性を捉えている。
細川真希はあらゆるイメージが極限的に流れ込み集積されていく情報の海を、生まれた時から泳ぎ続けてきた世代である。私たちは、この多様なシミュレーション世界と無垢に戯れる彼女の作品を通して、人類を待ち受ける途方なく多種多様な価値が並列化した現代社会に対して、一つの核心的な視座を手に入れるであろう。
2008年に開催した「増殖:真希モード」では自身をキャラクター化し、日々の身の回りの出来事や空想を当時の世相に反映させていたが、以来10年の時を経て変化した時代の中で細川真希が描く世界にご注目頂きたい。
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細川真希のサイバーワールド
会場:Box Gallery
作品紹介/スライドショー
概要
開催期間
2018/2/1(木)~2/7(水)
開館時間
10:00~19:30 ※最終日は17:00まで
会場
主催
Bunkamura Gallery