N響オーチャード定期

2016-2017 SERIES

94

ピンカス・スタインバーグ

N響オーチャード定期第94回に登場の指揮者ピンカス・スタインバーグ氏に、メールでインタビューを行った。

お父様は著名な指揮者(ウィリアム・スタインバーグ)でしたが、お父様からはどのような教えや影響を受けましたか?
「私の父からの影響は、勤勉に音楽を勉強することと、毎日、ヴァイオリンを練習し、楽譜を読むことでした」
ヴァイオリニストとして活躍されていたのに、指揮者に転向されたのはなぜですか? どういうきっかけで指揮者になられたのですか?
「私は偶然、指揮者になりました。私はシカゴ(注:シカゴ・リリック・オペラ管弦楽団)でコンサートマスターをしていましたが、指揮者のフェルディナント・ライトナーが「ドン・ジョヴァンニ」の公演中、急に体調が悪くなりました。彼は私に指揮台に上がるように合図をして、私に指揮棒を渡したのです。そして、私はそのままオペラの指揮を引き継ぎました。彼は気を失い、担架で担ぎ出され、私はオペラの最後まで指揮を続けました。そのことがアメリカのすべての新聞で報じられ、そのあと、私は、ヘルベルト・フォン・カラヤンからベルリンに招かれ、指揮研修生として彼のアシスタントをすることになったのです」
N響とは何度も共演されていますが、N響にはどのようなイメージをお持ちですか?
「N響と音楽を作っていくのはいつも楽しいですね。N響は第一級のオーケストラです」
「幻想交響曲」の魅力は? 聴きどころは?
「「幻想交響曲」の創作へのインスピレーションは、ベルリオーズがアイルランド系の女優ハリエット・スミッソンに抱いた恋心でした。彼女が最初、ベルリオーズからの申し出を拒絶したことが、彼に様々な気分や状況をともなう交響曲を書かせたのでした。それぞれの楽章が彼の感情の異なる段階を示しています」
アンヌ・ケフェッレクさんと共演されるにあたって一言お願いします。
「ロンドンでの共演以来久々にケフェレックさんと音楽ができることを楽しみにしています」
オーチャードホールの聴衆のみなさんにメッセージをいただけますか?
「あなたの心を豊かにし非日常のレベルへと連れて行ってくれる音楽に、心を開いて、感じ取ってください」

インタビュー:山田治生(音楽評論家)