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    Point見どころ

    名実ともに我が国を代表するピアニスト、小山実稚恵。Bunkamuraオーチャードホールでは2006年からの12年間・24回のリサイタルシリーズ「小山実稚恵の世界」を完結させ、驚くべきレパートリーの広さと高い音楽性で絶賛を浴びたことは記憶に新しいでしょう。2018年には全24回のプログラムからリクエストが多かった作品を選んだアンコール公演を開催、当時の皇后陛下がご臨席するなか、感動的なフィナーレを迎えました。

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    益々意欲的な演奏活動を続ける彼女が新たなシリーズをオーチャードホールで開始します。今回彼女が焦点を当てるのはベートーヴェンの後期5大ソナタ。ピアノ音楽の最高峰とも称される第28番から32番に至る珠玉の傑作群です。これまでも折にふれ後期ベートーヴェンの作品を取り上げてきており、小山にとっても大切なレパートリー。前回のシリーズを経て改めてベートーヴェンの頂きに挑む彼女の姿勢にその強い意気込みが感じられます。「ベートーヴェン、そして…」と題された今シリーズ、ベートーヴェンのソナタを核にしてバッハ、モーツァルト、シューベルトの作品を組み合わせた魅力的なプログラムとなっています。
    ベートーヴェン生誕250年記念となる2020年11月の第4回公演は特別プログラムとして、モンテカルロ・フィルハーモニー芸術監督を務めるなど若手指揮者No.1の活躍ぶりの山田和樹と横浜シンフォニエッタとの共演でピアノ協奏曲第5番「皇帝」、他を演奏します。過去の共演でも抜群の相性の良さを見せているこのコンビならではの息の合った名演を披露してくれるでしょう。3年間に渡る小山実稚恵の新たな旅、今回もピアノ音楽の神髄を堪能できるシリーズとなるに違いありません。

    • ©Hideki Otsuka

      小山実稚恵Michie Koyama

      プロフィール

      プロフィール

      人気・実力ともに日本を代表するピアニスト。チャイコフスキー国際コンクール、ショパン国際ピアノコンクールの二大コンクールに入賞以来、今日に至るまで、コンチェルト、リサイタル、室内楽と、常に第一線で活躍し続けている。

      2006年~17年までの壮大なシリーズ『12年間・24回リサイタルシリーズ』は、その演奏と企画性が高く評価され、2016年度 芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した。2019年春からは、新シリーズ『ベートーヴェン、そして・・・』が、全国6都市でスタート。

      これまでに国内の主要オーケストラはもとより、モスクワ放送響(現・チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ)、ベルリン響、ロイヤル・フィル、BBC響、イギリス室内管、アカデミー室内管、ロッテルダム・フィル、シンフォニア・ヴァルソヴィア、ワルシャワ・フィル、モントリオール響、ボルティモア響などと共演しており、フェドセーエフ、テミルカーノフ、マリナー、小澤征爾といった国際的指揮者との共演も数多い。協奏曲のレパートリーは60曲を超える。

      また、ショパン、チャイコフスキー、ロン=ティボー、ミュンヘンなどの国際コンクールでは審査員を務める。

      東日本大震災以降、被災地の学校や公共施設等で演奏を行い、仙台では被災地活動の一環として自ら企画立案し、ゼネラル・プロデューサーを務めるプロジェクト『こどもの夢ひろば "ボレロ"』を開催している。

      CDは、ソニーから昨年リリースされ、「レコード芸術」特選盤に選ばれた初のベートーヴェンのソナタ録音『ハンマークラヴィーア・ソナタ他』に続き、32枚目となるベートーヴェン・アルバム第2弾『ピアノ・ソナタ第30、31、32番』を2021年6月16日にリリースした。

      著書としては『点と魂と ― スイートスポットを探して』をKADOKAWAより出版。また平野昭氏との共著『ベートーヴェンとピアノ 「傑作の森」への道のり』、『ベートーヴェンとピアノ 限りなき創造の高みへ』を音楽之友社より出版。

      2005年度 文化庁芸術祭音楽部門大賞、2013年度 東燃ゼネラル音楽賞洋楽部門本賞ならびにレコード・アカデミー賞(器楽曲部門『シャコンヌ』)、2015年 NHK交響楽団「有馬賞」、2015年度 文化庁芸術祭音楽部門優秀賞ならびに第28回ミュージック・ペンクラブ音楽賞、2016年度 芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。2018年度 大阪市市民表彰を受ける。2017年度には、紫綬褒章を受章している。

      東京藝術大学、同大学院修了。吉田見知子、田村宏両氏に師事。

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      コメント

      コメント

      今、ベートーヴェンの音楽に心奪われています。
      2020年は、ベートーヴェン生誕250周年。この250年間にどれほど多くの人間が、ベートーヴェンの音楽から生きる力をもらっていることでしょう。与えてもらう力でありながら、それは、決して受動的なものではない。心の奥底にある未知の力を、自らの力で湧き上がらせる“能動の力”を与えてくれるのが、ベートーヴェンの力だから…。
      このシリーズのタイトルを「ベートーヴェン、そして…」と決めたのは、ベートーヴェンの音楽に深い影響を与えた作曲家と強い影響を受けた作曲家の、受動と能動の組み合わせでプログラムを作りたいと考えたからでした。ソナタ第28番から最後のソナタ第32番までの、作品100番台の5曲のピアノ・ソナタの中にこそ、ベートーヴェンの全てのエキスが詰め込まれていると私は思っています。
      ベートーヴェンが息を吸って、ベートーヴェンが息を吐く。そして、何かが湧き上がってくる。
      「ベートーヴェン、そして…」を湧き上がる気持ちと共に演奏したいと思っております。

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    Program各回プログラム

    公演終了

    Bunkamura30周年記念

    第1回

    2019629日(土)
    15:00
    開演

    〈敬愛の歌〉
    ベートーヴェン:
    ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 作品101
    シューベルト:
    ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調 作品120(D664)
    シューベルト:
    即興曲 作品90(D899)より第1、2番
    作品142(D935)より第1〜4番

    『ベートーヴェン、そして…』第1回公演は、ベートーヴェン:第28番ソナタで幕を開け、その後にシューベルトの作品を配したプログラム。

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    ベートーヴェン:第28番ソナタは冒頭の憧れに満ちたようなフレーズから一気に引き込まれてしまうような魅力に溢れた作品。後期作品ならではの音楽的充足感に満たされた傑作である。シューベルト:ソナタ第13番イ長調はアレグロ・モデラート、アンダンテ、アレグロの3楽章からなる愛らしい旋律に満ちた作品。即興曲は最晩年に作曲された珠玉の小品集で、心にそっと触れるような繊細な曲想から、小山実稚恵が最も愛する作品のひとつである。

    公演終了

    Bunkamura30周年記念

    第2回

    20191116日(土)
    15:00
    開演

    〈決意表明〉
    モーツァルト:
    J.P.デュポールのメヌエット主題による9つの変奏曲 ニ長調 K.573
    モーツァルト:
    ピアノ・ソナタ 第13番 変ロ長調 K.333
    ベートーヴェン:
    ピアノ・ソナタ 第29番 変ロ長調
    作品106「ハンマークラヴィーア」

    「ハンマークラヴィーア・ソナタ」はオーチャードホールの前シリーズ(小山実稚恵の世界~ピアノで綴るロマンの旅~)で2016年に演奏し、アンコール公演でもお客様からのリクエスト・ランキング11位に入った人気曲。ピアノ・ソナタ史上を見渡しても稀なほど大規模で、とりわけ演奏が難しい曲のひとつとしても知られる。

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    今回登場するもう一人の作曲家はモーツァルト。演奏するソナタは、「ハンマークラヴィーア」と同じ変ロ長調のソナタ第13番だ。また、ベートーヴェンはモーツァルトの変奏曲を愛好していたといわれ、「デュポールの主題による変奏曲」でリサイタルの幕が開く。デュポールとは、モーツァルトと同時代を生きたチェロ奏者、ジャン・ピエール・デュポールのこと。このシリーズでモーツァルトが登場するのは、今回のほかには第5回を待つことになる。ベートーヴェンの中に確実に流れ込んでいたモーツァルトの音楽に思いを馳せながら楽しむ回になるだろう。

    公演終了

    ベートーヴェン生誕250周年記念

    第3回 振替公演

    2020102日(金),3日(土)
    15:00
    開演

    〈知情意の奇跡〉

    6/20(土)に予定していた演奏会の振替公演です。

    ベートーヴェン:
    ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 作品109
    バッハ:
    ゴルトベルク変奏曲 ト長調 BWV988

    第3回のベートーヴェン・プログラムはピアノ・ソナタ第30番。

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    この第30番以降は「後期3大ソナタ」とも呼ばれ、ベートーヴェンのソナタ創作において最終的な到達点を示した完成度の高い楽曲だ。第30番ソナタは第3楽章に変奏形式をとり、最後に祈るような主題に戻って静かに閉じられる。これは今回組み合わせられたバッハ「ゴルトベルク変奏曲」を彷彿とさせ、ベートーヴェンがバッハから受けた影響を強く感じさせる。小山は2017年に「ゴルトベルク変奏曲」のCDをリリースしており、バッハとベートーヴェンという、まさに今小山が心を寄せる2作品を携えておくる渾身のプログラムだ。

    公演終了

    ベートーヴェン生誕250周年記念

    第4回

    2020113日(火・祝)
    15:00
    開演

    〈本能と熟成〉
    ベートーヴェン:
    ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲 WoO.63*
    ベートーヴェン:
    ピアノ協奏曲 第0番 変ホ長調 WoO.4
    ベートーヴェン:
    ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」

    *ピアノ独奏

    指揮:山田和樹/管弦楽:横浜シンフォニエッタ

    ベートーヴェン生誕250年記念となる2020年、第4回はシリーズ特別プログラムとしてモンテカルロ・フィルハーモニー芸術監督を務めるなど世界で活躍する山田和樹、そして山田が音楽監督を務める横浜シンフォニエッタとの共演でおくる。

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    なんといっても注目すべきはピアノ協奏曲WoO.4がラインナップされているところ。通称「第0番」とも言われるこの曲は、ベートーヴェンが若干13歳で初めて作曲したピアノ協奏曲であり、オーケストラ・パートは一部がピアノ版で残されているのみである。後年、ヴィリー・ヘスが全編を補筆して完成した。演奏されることが非常に珍しい作品であり、ベートーヴェン・イヤーならではのプログラムといえよう。コンサートの締めくくりはベートーヴェンの最後のピアノ協奏曲である名曲第5番。「皇帝」の愛称で知られ、力強く華やかな曲想のこの作品はベートーヴェンのピアノ協奏曲の中でひときわ人気が高い。作曲時期が離れた2曲ながら、どちらも「変ホ長調」という同じ調性であることも興味深い。ピアノ協奏曲0番への前奏として、同じく若き日のベートーヴェンが作曲した初めての変奏曲「ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲」が演奏されるのも楽しみ。

    ©Yoshinori Tsuru

    指揮

    山田和樹

    プロフィール

    指揮:山田和樹

    2009年第51回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。ほどなくBBC交響楽団を指揮してヨーロッパ・デビュー。以来、破竹の勢いで活躍の場を広げている。2016/2017シーズンから、モンテカルロ・フィル芸術監督兼音楽監督、2018/2019シーズンからバーミンガム市交響楽団の首席客演指揮者に就任。日本では、日本フィル正指揮者、読売日本交響楽団首席客演指揮者、東京混声合唱団音楽監督兼理事長、横浜シンフォニエッタ音楽監督などを務めている。2016年には実行委員会代表を務めた「柴田南雄生誕100 年・没後20年 記念演奏会」が平成28年度文化庁芸術祭大賞、2017年には『山田和樹マーラー・ツィクルス』などの成果に対して、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した。これまでに、ドレスデン国立歌劇場管、パリ管、フィルハーモニア管、ベルリン放送響、サンクトペテルブルグ・フィル、チェコ・フィルなど各地の主要オーケストラでの客演を重ねている。東京藝術大学指揮科で小林研一郎・松尾葉子の両氏に師事。ベルリン在住。

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    ©Shuhei ARITA

    管弦楽

    横浜シンフォニエッタ

    プロフィール

    管弦楽:横浜シンフォニエッタ

    1998年TOMATOフィルハーモニー管弦楽団として東京藝術大学学内にて創立。後に横浜シンフォニエッタヘと改称、音楽監督に山田和樹を擁し、横浜に活動拠点を置くオーケストラとして国内外で演奏活動を展開している。2013年フランス・ナントのラ・フォル・ジュルネ音楽祭へ日本の楽団として初めて招聘される。2013年にはその功績を高く評価され横浜文化賞文化・芸術奨励賞を受賞。

    オフィシャルサイト

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    公演終了

    第5回

    2021619日(土)
    15:00
    開演

    〈結晶体〉
    ベートーヴェン:
    6つのバガテル 作品126
    バッハ:
    半音階的幻想曲とフーガ 二短調 BWV903
    モーツァルト:
    幻想曲 ハ短調 K.475
    ベートーヴェン:
    ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 作品110

    シリーズ最終年、春の演奏会となる第5回は、ベートーヴェン最後のピアノ作品となった1824年の「6つのバガテル」と、最後の三部作ソナタの第2曲となる第31番変イ長調を軸に、バッハ「半音階的幻想曲とフーガ ニ短調」、モーツァルト「幻想曲 ハ短調」を織り交ぜておくる。

    解説を読む

    今回のタイトルは「結晶体」。晩年の2作品がベートーヴェンの創作人生の「結晶」であるのはもちろんのこと、彼が多くを学んだバッハ、モーツァルトの作品のエッセンスがベートーヴェンの中に「結晶」となっていたことは間違いない。さまざまな「結晶体」が煌めく珠玉の作品を楽しみ、ソナタ第31番のフーガによる壮麗なフィナーレをご堪能いただきたい。

    第6回

    20211120日(土)
    15:00
    開演

    〈異次元へ〉
    シューベルト:
    ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 D958
    ベートーヴェン:
    ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111

    シューベルトが、他界したベートーヴェンを追悼するように作曲した3曲セット(第19番~21番)のピアノ・ソナタから、最もベートーヴェン的な響きをもつ第19番と、ベートーヴェン最後のピアノ・ソナタ第32番ハ短調をおくる。

    解説を読む

    シューベルトはこの3曲のソナタを書き上げて間もなく、ベートーヴェンを追うように1828年11月に他界する。ベートーヴェンの背を仰ぎ見続けた後輩シューベルトとの組み合わせで本シリーズはフィナーレを迎えるが、「ベートーヴェン、そして…」というタイトルからもうかがえるベートーヴェンが遺したあまりにも大きな影響に思いを馳せずにはいられない。今回演奏する2作品は、どちらも楽に魅せられた男が現実世界の最後に到達し、異次元へと飛翔するマイルストーンである。

    小山実稚恵 ©内田絋倫(The VOICE)

    Bunka祭(ぶんかさい)2021
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