INTRODUCTION

あなたは知っていますか?世界が求める日本人ダンサーの実力を――

近年、メディアでも大きく取り上げられている日本人のバレエ界での活躍。いまや欧米の名門バレエ団には必ずといっていいほど日本人が所属しており、主要な役を任されているということをご存知でしょうか? 日本にバレエがもたらされたのは1912年といわれており、当初は生活様式や体型の違いから「日本人にはバレエは難しい」という意見もあったといいます。しかしそんな予想に反し、日本人のバレエはいまや驚くべき進化を遂げました。現在では毎年のように国際コンクールで日本人が受賞しているほかイギリス、フランス、ドイツ、ロシア、アメリカ・・・世界中の名門バレエ団で日本人が団員として名を連ねています。「バレエは欧米人のもの」という概念は過去のものであるといっても過言ではないのです。
そんな世界で活躍する日本人ダンサーのなかから、オーチャードホール芸術監督熊川哲也が認める選りすぐりのダンサーを紹介するのがこの『オーチャード・バレエ・ガラ~JAPANESE DANCERS~』。

「日本人の体形、日本の文化という背景という条件がある中で、どれだけの技術やクオリティがあれば海外で通用するのか、この公演ではその答えが瞬時にわかる」という熊川の言葉の通り、国内ではなかなか観る機会の少ない「いま世界で求められている日本人ダンサー」をご覧いただける機会となります。
ぜひその実力を皆様の目でご確認ください!

Artistic Director<総合監修>
熊川 哲也 Tetsuya KUMAKAWA
(オーチャードホール芸術監督/ K-BALLET COMPANY芸術監督・プリンシパル)

©Ayumi Gombi

熊川はダンサーとして頂点を極め、1999年よりKバレエ カンパニーを創立し、欧米のバレエ団と変わらないクオリティの舞台を発表し続けてきた。近年では2013年ローザンヌ国際バレエコンクールで審査員に任命されるなどその教育者としての絶対的な力量もまた、グローバルに注目されている。かつて自身も英国を活動拠点にしながら国内で鮮烈なデビューを飾った熊川。本公演には「ご覧になるお客様はもちろんのこと、自分もかつてそうだったように日本で踊る機会を与えることで、ダンサーたちが日本バレエ界への想いを育むきっかけになれば…」と若きアーティストたちへの激励を込めている。熊川哲也が芸術の未来への熱い想いをBunkamuraから発信する本公演、この機会は見逃せない!

  • 北海道生まれ。10歳よりバレエを始める。1987年に英国ロイヤル・バレエ学校に入学。88年、日本人として初めてマリインスキー劇場(ペテルブルク)にて踊る。89年にローザンヌ国際バレエコンクールで日本人初のゴールド・メダルを受賞。ヨーロピアン・ヤング・ダンサーズ・オヴ・ザ・イヤー・コンクール(パリ)でも金賞を受賞。同年、東洋人として初めて英国ロイヤル・バレエ団に入団し、同団史上最年少でソリストに昇格。93年、プリンシパルに任命された。在団中にボリショイ・バレエ団の『ジゼル』をはじめ各国のバレエ団に客演。96年から98年にはセルフ・プロデュース公演「Made in LONDON」を開催している。98年に英国ロイヤル・バレエ団を退団し、99年、Kバレエ カンパニーを創立。芸術監督を務め、これまでに、自身の演出・再振付による古典全幕作品を上演している。その他振付作品には、『ベートーヴェン 第九』『ウォルフガング』『パッシング・ヴォイス』『ソリチュード』『シンプル・シンフォニー』などがある。2014年3月にはBunkamura25周年・K-BALLET COMPANY15周年記念作品として新作『ラ・バヤデール』公演を発表。秋には続く記念作品第2弾としての新作発表を予定している。

    また海外に於いて、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場、スポレート・フェスティバル(イタリア)、サン・カルロ歌劇場(イタリア)、ロイヤル・オペラ・ハウスでの「芸術監督アンソニー・ダウエル退任記念ガラ」や「ヌレエフ記念ガラ」に出演。このほかの主な出演には、プティ版『ボレロ』世界初演、スーパー・ワールド・オーケストラ(ロリン・マゼール指揮)との共演や、香港バレエ団、イングリッシュ・ナショナル・バレエ、チューリヒ・バレエ団との共演がある。 2004年、『白鳥の湖』の演出/振付/出演に対し、第3回朝日舞台芸術賞を受賞。2005年、第55回芸術選奨 文部科学大臣賞(舞踊部門)を受賞。2006年、Kバレエ カンパニーとして『ドン・キホーテ』『くるみ割り人形』の舞台成果に対し、第5回朝日舞台芸術賞を受賞。2012年1月、Bunkamuraオーチャードホール芸術監督に就任。2013年、紫綬褒章受章。

point

イギリス、アメリカ、カナダ、オーストリア・・・世界の名門バレエ団で主役を務める若き才能が熊川の元に集結!

本公演には “JAPANESE DANCERS”という副題がついている通り、20名以上の世界各国を代表するバレエ団に所属する日本人ダンサーが一堂に会する。熊川哲也の磨き抜かれた審美眼で選ばれたそのメンバーは、いずれもローザンヌ国際バレエコンクール、モスクワ国際バレエコンクールなどの世界的コンクールで輝かしい成績をおさめ、現在バレエ先進国の名門バレエ団において主演に抜擢されている精鋭揃いだ。

かつて熊川自身が活躍した英国ロイヤル・バレエからは、競合ひしめくロイヤル・バレエで数々の主演に抜擢されている崔由姫、金子扶生、平野亮一が出演。またマニュエル・ルグリが芸術監督を務めるウィーン国立バレエからは、今や同団の”看板”ともいえる存在になりつつある橋本清香、木本全優、幼い頃より国際的に注目され現在アメリカで絶大な人気を誇るボストン・バレエの倉永美沙、同じくアメリカを代表するヒューストン・バレエで活躍し米ダンスマガジン誌において「いま見るべき25人のダンサー」に選出されている飯島望未、カナダを代表するロイヤル・ウィニペグ・バレエで古典からキャラクター役まで幅広い役柄をこなす椿井愛実三野洋祐、タマラ・ロホ率いるイングリッシュ・ナショナル・バレエの新鋭 猿橋賢、ブルノンヴィルの系統を受け継ぐ北欧からはノルウェー国立バレエで数多く主演を務める松井学郎野村千尋、そしてヨハン・コボーが芸術監督を務めるルーマニア国立バレエからも成長著しい奥野凜、堀内尚平、吉田周平らが出演する。各国のバレエファンからも絶大な評価を得ている彼らの舞台を国内で見られる機会は大変貴重。

またバレエ・ダンサーだけでなく、世界を舞台に活躍する日本人音楽家の出演も決定! パリ国立高等音楽院で学び、ロン=ティボー国際コンクールおよびエリザベート国際コンクールで第2位を受賞するなど輝かしい賞歴を持ち、「 偉大なヴァイオリニストパガニーニのライバル 」とまで評された注目されているヴァイオリニストの1人である成田達輝 “世界が認める若手日本人音楽家”がバレエと初共演! バレエと音楽、それぞれのジャンルで世界に羽ばたく次世代の日本人のパワーに期待がふくらむ!

各国のバレエ・スタイルを一挙に堪能できるバラエティに富んだプログラム!

彼らが披露する作品にもこの公演ならではの一工夫が。演目は"それぞれのバレエ団や国のスタイルが表現できるもの"という視点で選ばれているのだ。それぞれの国で身につけたバレエ・スタイルが堪能できるのはうれしい。ロイヤル・バレエの3名は英国を代表する振付家ケネス・マクミランと、新作を次々と発表し世界的注目が高まっているリアム・スカーレットの作品を上演。ルーマニア国立バレエの3名は芸術監督ヨハン・コボー振付の『レ・リュタン』を披露する。『レ・リュタン』はコジョカルやザハロワなど世界的スターによって踊られている作品。超絶技巧をユーモアたっぷりに楽しめる作品だ。

また本公演でしかご覧いただけない共演にも注目が集まる。ロイヤル・バレエの崔由姫がKバレエカンパニーで上演されている熊川哲也改訂振付による『白鳥の湖』の“第3幕のグラン・パ・ド・ドゥ”に挑戦するほか、クラシック・バレエのステップとフォーサイス独特の鋭い感覚が絶妙に融合した『精密の不安定なスリル』は、今回世界初となるオール日本人キャストでの上演となる。世界中のガラで、世界中のスターによって踊られてきた本作を彼らがどう踊るのか、期待はつきない。

スターへの階段を上り始めたばかり!10代の注目ダンサーもご紹介!
本年のローザンヌ国際バレエコンクール受賞者らが出演!

K-BALLET YOUTHなど、若手の育成にも心力を注いでいる熊川。若い頃から舞台経験を積むことは、プロのダンサーにとって必要不可欠と考える熊川は本公演にも、これからバレエ界に羽ばたく有望な若手ダンサーを選抜。

2013年、熊川が審査員を務めたローザンヌ国際バレエコンクールでプロ研修賞を受賞、ロイヤル・バレエでの研修を経て昨年Kバレエ カンパニーに入団した山本雅也や、2015年ローザンヌ国際バレエコンクール第5位/プロ研修賞を受賞した金原里奈などいままさにスターへの階段を上り始めたばかりの逸材が登場する!